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Windows Vista、β1にないものとあるもの(2/2 ページ)

» 2005年07月28日 12時55分 公開
[IDG Japan]
IDG
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 Microsoftがマルウェア対策として期待している重要な新機能が、「User Account Protection」だ。Windows Vistaでは、「Limited Account」という新しいタイプのユーザーアカウントを加えている。このアカウントは管理者アカウントより制限が多いが、Windows XPのゲストアカウントよりは権限がある。Limitedユーザーとしてログインした場合、新しいプリンタの追加などの日常的な機能は使えるが、新しいアプリケーションのインストールなどマルウェアが実行しようとするようなタイプのタスクなどは行えない。

 IE 7ではRSSフィードリーダーが統合され、待望のタブブラウジングも利用できる。同ブラウザではスパイウェアのインストールを阻止するよう設計された保護モードに、User Account Protectionの技術の幾つかを使っている。Limitedユーザーは保護モードでのみWeb閲覧できるが、IT担当者は、保護モードを全ユーザー(管理者権限を持つユーザーも含む)のデフォルトにするようシステムポリシーを設定することもできる。保護モードで「(IE 7が)できるのは、インターネット一時ファイルへの書き込みと履歴の閲覧だけ」とウィルソン氏。

 Microsoftの目標は、ほとんどのWindows Vistaユーザーを管理者アカウントから外すことにある。User Account Protectionはβ1ではデフォルトでオフになっているが、スタートメニューからオンにすることができる。β2ではデフォルトでオンになる予定。

 ワークショップでは、この計画に関して問題になりそうなことが、Windows VistaのWindows Firewallに関する議論の中で浮上した。同OSのファイアウォールは、送信されるトラフィックを監視できる(Windows XPのファイアウォールは受信するトラフィックだけをチェックする)。デフォルトでは、送信トラフィックのスキャンはコーポレート版でのみオンになる。ウィルソン氏によると、コンシューマー版でこれをオンにすると、インターネットへのアクセスを必要とするアプリケーションがアクセスできないし、正規のアプリケーションを機能させるには、ユーザーが管理者権限を持っている必要があるからだという。

リブートを50%減らす

 このほかWindows Vistaの基本的な機能としては、起動が高速化され、より安全になった点がある。これはブートアップの時にも、スタンバイモードからアクティブ状態に復帰する時にも当てはまる。またユーザーモードドライバの設計が改善され、「プリンタドライバがクラッシュしても、OSをクラッシュさせることはない」という。サイトの振る舞いによって不審なサイトを識別し、動的に更新されるデータベースに基づいてフィッシングサイトを確認するフィッシング対策フィルターも搭載される(これはWindows XP向けIE 7のβ1で導入されるが、Windows Vista向けのIE 7のβ版には搭載されない)。

 Windows Vistaはイメージベースのインストールプロセスを使っているため、ほとんどの部分は多数の小さなファイルではなく、1つの大きなファイルからインストールされる。コンシューマーにとってはあまり重要でないかもしれないが、IT担当者による大規模導入は簡略化されるはずだ。IT担当者は、新しいファイルにドラッグ&ドロップすることでイメージファイルを簡単にカスタマイズできる。このほかIT部門向け機能として、管理者が特定の問題が起きたときに実行するタスク(ITスタッフへの通知など)を指定できるようにする改良版イベントログなどがある。

 同OSには、新しいリスタートマネージャが搭載される。これは「リブートを50%減らせると思う」とウィルソン氏は言う。また、特定のWindowsサービスのクラッシュ、ハードの障害、ネットワーキング問題、パフォーマンス低下、リソースの消耗などの問題を診断し、対処する新ツールも導入される。例えば、HDDの障害が起きそうな場合に、同OSはユーザーにデータをバックアップするよう指示する。

 全体的に見て、Microsoftは基本機能への取り組みがWindowsの所有・管理コストを25%減らすと期待しているとゴールドバーグ氏。

 一般ユーザーにもWindows Vistaを試す機会があるかもしれないが、おそらくそれはβ2がリリースされてからだろう。Microsoftのサリバン氏は、β2のリリース日はまだ予測するのも不可能だとしている。しかし同社は、今なおWindows Vistaの正式リリースを2006年後半に計画している。「われわれとパートナーにとっては、2006年の(クリスマス)休暇に間に合わせることに十分なビジネス上の理由がある」

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