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「また見つかった」「何が?」──そんな2006年だったかな(3/3 ページ)

» 2006年12月27日 15時51分 公開
[ITmedia]
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画像 YouTubeはひんぱんにマイナーアップデートを行い、どんどん使いやすくなっている

 米国では、個人の面白ビデオが人気を博したり、動画で社会問題を告発してそれをメディアが取り上げるなど、個人が情報配信するメディアとしても活用されているが、日本では面白いテレビ番組を共有するためのツールとしての使われ方が主で、テレビ局など権利者との間で著作権問題が起きている。権利者は、自社が権利を持つビデオを見つけ次第YouTubeに削除要請しているが、削除されたそばから別のユーザーがアップするなどいたちごっこが続く。米国ではYouTubeを著作権侵害で訴える動きもあり、日本でもテレビ局などが団結し、YouTubeと交渉し始めた

 その一方でYouTubeは、メディア企業からの期待も引き受け、さまざまに利用されている。東京の地方局がYouTubeに番組を流して全国から視聴者を集めているほか、米CBSはYouTubeと提携してコンテンツ配信を開始。世界中から視聴者を集め、影響力を高めている。

 広告媒体としても利用されており、米国ではSony BMGなどと提携して音楽プロモーションビデオを流している。米Sonyは液晶テレビ「BRAVIA」のCMメイキングビデオを流して人気を博したほか、ナイキは日米で広告映像を流して話題になった。

 著作権問題を抱えながらも、一部の著作権者を味方に付け、メディア企業も活用方法を模索している点が、P2Pファイル交換ソフト事業者などと異なり、未来の可能性を感じさせる。10月にGoogleに買収されたが、Googleの広告戦略と訴訟対応能力がYouTubeをまた“強く”していきそうだ。

 動画という分かりやすいコンテンツは、世界をより近くで見せてくれたように思う。日本語動画をアップしていた親日米国人の女の子のページが炎上し、その後鎮火するとう事件は、インターネットには国境がないということを改めて実感させてくれた。YouTubeは日本でのビジネス展開も考えているようす。そういえばメンテナンス中に出る画面もなぜか日本の消防士だったし、意外と親日的かもしれない。

 国内でも“YouTube型”動画投稿サービスのリリースが相次いだ。いち早く動いたのがフジテレビジョンで、6月に「ワッチミー!TV」を公開。NTTも動画共有サイトを構築した。サイバーエージェントなどネットベンチャー系企業も相次いでサービスをリリース。ヤフーも来年には参入してきそうだ。

 ただ日本の動画投稿サイトの多くは、動画を事前にチェックし、著作権上問題がないと判断したものから掲載する、という仕組み。YouTubeほどの盛り上がりも見られない。インターネットの革命は常に米国から、という構造は今年も変わらず、可能性の差を見せ付けられた思いだ。そういえば国内で最もイノベーティブなネットベンチャーの1つ、はてなの社長も米国に行ってしまった

ねこもしゃくしもWeb2.0

 今年は「Web2.0」というキーワードが乱れ飛んだ。明確な定義のない用語で、ITmedia News編集部でも当初は利用を避けていた。だがいつの間にかこれなしでWeb動向を語るのは難しい状況になってきたため、開き直って「Web2.0」専用のタブを作ってみたりした。

 Web2.0は、ヤフーや楽天のような一極集中型の伝統的ネットサービスが成長速度を鈍化させる中、「次に急成長するサービス」の特徴を探そうとする試みだったように思う。「ロングテール」「API」「マッシュアップ」「集合知」「オープン化」「CGM」(Consumer Generated Media)などがその要素とされ、これらの特徴を備えたサービスはWeb2.0と呼ばれ、Googleやはてなが代表格に挙げられた。CGMで成り立つmixiもWeb2.0的とされた。

 APIの公開や、APIを活用した新たなサービス(マッシュアップサービス)のリリースが相次ぎ、特にGoogle Maps APIを活用したサービスが無数に生まれた。ヤフーもAPI公開サイトを作って続々とコンテンツを更新するなど「Web2.0化」を急いでいる。

 ただ「Web2.0的」と賞賛される企業ほど、Web2.0に対して冷静な傾向があるようだ。はてなの社長は「Web2.0はラベルに過ぎない」と語り、ミクシィの社長も「Web2.0をあまり意識しないでいたい」と語った(上場後は自らWeb2.0企業と名乗っているようだが)。グーグルでも、Web2.0が話題に上ることはほとんどないと聞く。その一方で、「Web1.0企業」のらく印を押された企業の方が「われわれは以前からWeb2.0だった」と主張しているような傾向がある。

 Web2.0というキーワードは、それぞれの人がそれぞれの立場で好き勝手に使いすぎ、もともとあいまいな意味がさらに拡散してきた。流行も下火になってきたように思うが、来年まで持つだろうか。

「成分解析」「男おやつ」――今年もいろいろありました


画像 解析結果が妙にハマっていた「成分解析」

 ネット上で盛り上がったネタから、ITとまるで関係のない話まで、話題になった記事を最後にまとめよう。

 単語を入力すればどんなものでも瞬時にその“成分”を解析してくれるソフト「成分解析」は、記事掲載後に自分の名前の解析結果などをブログやmixi日記に掲載する人が相次ぎ、類似の解析サービスも山ほど登場した。ブログやmixiの普及で、テストや占いコンテンツの人気が復活してきているようだ。

 フジテレビWebサイトの会社案内がアスキーアート化していたのは衝撃だった。「時代に合ったデザインにしている」そうで、今アクセスすると「のだめカンタービレ」のデザインに。確かに時代を反映している。

画像 あまりに衝撃的だったフジテレビの会社案内

 ITとはまるで関係なかったが、読者の日常生活に大いに関わりが深かったと見られるのが「男おやつが常識に」。男性の9割が職場でおやつを食べているという内容で、チョコレートが1番人気。年齢が上がるごとにせんべいの人気が高まる、という納得の結果だった。記事掲載後に弊社のオフィスグリコがすっからかんになる、という副産物もあった。

 “ロボット”アニメである、という点がITといえばITの「ゴールドライタン」の超合金玩具も話題になった。ライターがロボットに変形するという「画期的なTVアニメーション」で、ロボット−ライターの変形は完全に再現したという力の入れようだ。

 ネット販売している、という点がITといえばITの、ストラップのないサンダル「ヌーサン」は、記事掲載後に売り切れに。すでに来年用モデルの予約受け付けも開始しているようだ。

 「男前豆腐」の豆腐がガシャポンになった、というニュースも多く読まれた。もちろんITとは何の関係もない。

 以前は、ITに関係ないネタでも無理矢理ITに結びつけて載せていたものだが、最近はITと何の関係もなくても載せてしまうようになり、それが読者にも受け入れていただけるようになってきた。インターネットがそれだけ一般化した、ということを反映しているのかもしれない。

 というわけで来年もこんな調子であれやこれやを期待しつつ、またご愛読いただければ幸いです。

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