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「着メロを鳴らすのは演奏、著作権料が必要」と著作権者団体が主張

» 2009年07月10日 12時28分 公開
[ITmedia]

 携帯電話の着メロを人前で鳴らすと著作権侵害になる――権利者団体のこのような主張を、米市民権団体の電子フロンティア財団(EFF)が批判している。

 米作曲家・作家・出版社協会(ASCAP)は先に連邦裁判所に対し、公の場で着メロを鳴らす行為は興行に当たるとし、携帯電話利用者は着メロを鳴らすたびに著作権法に違反していると申し立てた。モバイルサービス事業者は着メロの販売権を得るために著作権者にロイヤルティーを払っているが、ASCAPは、着メロの「演奏権」に関してさらにロイヤルティーを払うよう求めている。支払わなければ、携帯電話利用者による著作権侵害に荷担することになるとASCAPは話している。

 EFFはこの主張を「偽の著作権クレーム」と批判、「直接および間接の商業的利益を目的としない」興行には著作権法は適用されないと指摘し、着メロはそのケースに当てはまると述べている。「おかしな主張だ。着メロを購入している数百万人の人が、レストランで携帯電話をマナーモードにするのを忘れたら法律を破ったことになるのだろうか。ASCAPの主張する通りなら、窓を開けてカーラジオを流すのも著作権侵害になる」とEFFの知財担当上級弁護士フレッド・フォン・ローマン氏は述べている。

 ASCAPは、消費者ではなく、モバイルサービス事業者にロイヤルティーを課すつもりだとしているが、EFFは、ASCAPの言い分が通れば「消費者による『興行』がほかの著作権者からもターゲットにされるかもしれない」と指摘している。さらに同団体は、このような主張は革新的なガジェットの開発にも影を投げ掛けるとの懸念を示している。

 「消費者が人前で音楽を再生することは合法であり、携帯キャリアがわたしに着メロを販売し、携帯電話でそれを鳴らすことも合法だ。さもなければ、フェアユースやファーストセールなどの著作権上の権利を活用できる技術を販売することが違法になってしまう」(ローマン氏)

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