8月4日にYahoo!が米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書によると、Yahoo!とMicrosoftの米国内での検索を合わせたRPS(検索1回当たりの収益)が12カ月平均でGoogleの予測RPSの一定割合を下回る場合には、Yahoo!はMicrosoftとの10年間の検索広告提携を打ち切ることができる。
この条項は、検索市場をリードするGoogleに対するYahoo!とMicrosoftの対抗意識をはっきりと示すものであり、10年契約の後期にはその内容が変化する。
契約開始から5年間経過した後は、Yahoo!の米国内でのRPSが12カ月平均でGoogleの予測RPSの一定割合を下回るだけでも、Yahoo!は検索広告契約を終了する権利がある。
Microsoftがアルゴリズム検索事業あるいは有料検索事業から撤退した場合も、Yahoo!は契約を打ち切ることができる。また、Microsoftがアルゴリズム検索事業あるいは有料検索サービス事業の売却を決めた場合には、Yahoo!は「これらの事業を買収するための第一先買権と最終オファーの権利」を保有する。
2010年7月29日までに契約成立の条件が整わなかった場合も、両社は契約を破棄することができる。
Yahoo!がSECに提出したForm 8-K報告書によると、MicrosoftはYahoo!との検索広告提携の一環として400人のYahoo!従業員を雇い入れることになっている。契約後期には、同社が検索広告収入の90〜93%をYahoo!に支払う可能性もある。
Yahoo!とMicrosoftが7月29日に締結した契約は、Microsoftの検索エンジン「Bing」と検索広告プラットフォームをYahoo!の検索エンジンのバックエンドとして採用するというもの。Microsoftは契約期間の最初の5年間、検索広告収入の88%をYahoo!に支払うことに合意した。
Yahoo!の報告書によると、契約後期の5年間は、Microsoftは大手検索広告主に対するYahoo!の独占販売権を終了するオプションを有する。Microsoftがこのオプションを行使した場合、収益分配率は93%に引き上げられる。
しかしYahoo!が独占販売権を維持するオプションを行使すれば、収益分配率は83%に引き下げられる。Microsoftがオプションを行使しなければ、契約後期の収益分配率は90%となる。
7月29日の電話会見で財務アナリストらが、契約後期の取り決めに関してYahoo!のキャロル・バーツCEOとMicrosoftのスティーブ・バルマーCEOに投げ掛けた疑問は、これで解決したようだ。バーツ氏は会見の中で、「後期に関する条項は複雑だ」と述べていた。
またMicrosoftは、移行と導入に関連した費用として、契約期間の最初の3年間は毎年5000万ドル(合計1億5000万ドル)をYahoo!に支払う。
契約手続きが完了すれば、Microsoftは400人のYahoo!従業員を雇い入れるのに加え、移行作業を支援するために、両社合意の上でさらに150人の従業員を受け入れることが義務付けられる。
MicrosoftがYahoo!の従業員を受け入れるのは、自社の検索技術と検索広告プラットフォームを強化するのが目的なのかという疑問も、財務アナリストらの関心の的だった。先週の電話会見では、バーツ氏もバルマー氏もこの疑問に答えなかった。
両社の技術ライセンス提携には以下の条項も盛り込まれている。
この提携が規制当局の認可を受けるのは来年初頭になる見込みだが、MicrosoftとYahoo!は今年の10月27日までに最終合意に調印し、契約が発効する段取りとなっている。
この契約が司法省および連邦取引委員会に承認されれば、Yahoo!とMicrosoftは2年以内にその成果を期待することができそうだ。これは検索市場でGoogleのシェアが拡大あるいは縮小するのに十分な時間だ。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR