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» 2009年12月02日 22時08分 公開

セカイカメラ2.0はモバイルARのスキヤキになれるか(2/2 ページ)

[松尾公也,ITmedia]
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 12月1日にリリースされたばかりのiPhoneアプリ。フランスのPresseliteが開発した。TwitterとARを組み合わせ、Twitterのタイムラインを拡張現実にマッピングする機能があり、iPhoneを横向きにして、ツイートしたばかりのフォローしている人を見ると、だいたいその場所につぶやきが浮かんでいる、といった使い方ができる。地面にiPhoneを向けると、ツイートしている友人への方向矢印と距離が示されるのが面白い。ただし、正しい距離や方向が表示されるのは、ジオタグ付きで投稿されている場合で、現時点ではほとんどない。

 Twitterへの投稿機能はセカイカメラの最初のバージョンに付いていたが、テキストや写真をエアタグにする際に、Twitterに同時投稿するだけの機能だった。だがバージョン2.0のAir Tweetでは大幅に機能強化され、この「Twitter 360」と同等の機能が無料で手に入ることになる。

  • Stella Artois le Bar Finder(無料、未公開)

 VentureBeatの記事によれば、AcrossAirという単機能のARアプリを13本も出している会社が先月、黒字になった。アプリが大ヒットしたからではない。大手ビール会社がスポンサーについたARアプリをリリースしたからだ。

 このアプリは、Stella Artois(ステラ・アルトワ)というベルギーのビール会社が納品しているバーのデータベース(8万件に及ぶ)を、AcrossAirのARアプリにマッピングしたものだ。ここから、この会社のピルスナーを売っているバーをiPhoneをくるくる回しながら探せるというわけだ。

 このアプリは今週公開予定。同社はWorkSnugというビジネスパースン向けの地域情報専門のアプリも出している。現在はロンドンとサンフランシスコに対応している。

 こうした、特定店舗チェーンとのパートナーシップは、後述のLayarでは既にやっているし、セカイカメラもバージョン2.0からは、ゼンリンデータコムのマツモトキヨシ店舗情報を手始めに、法人向けの拠点案内ソリューション「e-map」に順次対応していく(ゼンリン、「e-map」と「セカイカメラ」の連携サービスを発表)。

Augmented reality does make money AcrossAir turns profitable, launches bar finder(VentureBeat)

 日本ではシステム・ケイがローカライズやコンテンツの提供をしているLayar。10月15日に登場した。その名のとおり、自社、サードパーティを含めた多数のレイヤーをひとつずつAR表示することができる。

 日本のコンテンツはシステム・ケイが多数追加している。Wikipedia、Twitter、Panoramio、Flickr、Brightkiteが既に用意されており、日本向けにもHot Pepperのグルメ情報や、システム・ケイによる銀行、コンビニなどの情報が多数追加されている。情報量が最も充実しているのがこれだ。

 弱点としては、同時に1つのレイヤーしか表示できないこと、自分での情報発信に難があること。「みんなのLayar」というWebサービスでの投稿が可能だが、アプリ内にはなく、現時点では使いづらい。コミュニティー構築用のアプリではない。

 データベースの拡充という意味では、セカイカメラにとって強力なライバルだろう。セカイカメラはOpenAir APIのOpenAir Federationにより外部のロケーションベース情報と連動したエアタグ表示が可能になる。

 ARソリューションの老舗であるドイツのmetaioが11月11日にリリースした「ソーシャルAR」アプリ。自分で撮影した写真をその場に投稿することができる。アニメーションする3Dモデルをカメラビューと重ね合わせることで面白みを出している。撮影されたものは世界中のjunaioユーザーと共有される。

 コミュニティーを意識しているメジャーなARアプリは、セカイカメラ以外ではこのアプリくらいしかない。まだ荒削りなユーザーインタフェースだが、コンセプト的には最も近いので、彼らが世界でどのように受け入れられるかは気になるところだ。

 3Dオブジェクトの配置では、アプリケーション間通信であるOpenAir IACを使った「Jazz Sculptor」がセカイカメラの新バージョンでデモされた。くるくる回る3Dオブジェクトをタップすると、3D彫刻アプリの「Jazz Sculptor」が立ち上がり、そこで変更して保存すると、セカイカメラに戻ったときに反映されるというスムーズな仕組みが実現されている。ほかの3Dアプリでも同様のことが可能になるはずだ。

 シンガポールの同名企業による「buUuk」は9月30日という早い時期にリリースされた。基本的にはレストランガイドで英文のみ。無料だが、機能はおそらくARアプリの中で最も充実している。世界主要都市の4万5000件の飲食店解説を収録。セカイカメラとはまったくベクトルが異なるけれども、別の意味で完成されたアプリだ。

 秀逸なのは、BBS的なコミュニケーション機能を持ち合わせていること。Facebookとの連動が可能。その店の名前を入れてFacebookステータスをアップデートすることが簡単にできる。

 カメラビューはあくまでもオプションで、地図、衛星写真のモードもある。飲食店のデータからは電話も可能で、地図だけでなく、3GSであればコンパスで方向も示してくれる。評価システムも用意。ユーザーインタフェースは非常によくできている。

 基本はレストランガイドなので、それ以上の要素はないが、投稿機能もあり。完成度は著しく高い。

 一方、セカイカメラはSekai Life、Sekai Profile、Air Followという一連のソーシャル機能を追加した。buUukへのキャッチアップ以上のものはこれでできるはずだが、Facebookとの連携を求める声は今後出てくるのではないかと思う。

 iPhone用のAR系アプリはほとんどチェックしてきたつもりだが、これまでリリースされてきたARアプリの中で、セカイカメラ2.0の多機能、ユーザーインタフェースのシンプルさはダントツだ。この「Sukiyaki」が世界のiPhone用ARアプリでナンバーワンを取るのは時間の問題ではないだろうか。

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