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Appleの「iPad」、製造上の問題に直面か――アナリストが報告

» 2010年03月02日 15時20分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米AppleのタブレットPC「iPad」のリリースが当初、製造工程の問題で制約を受ける可能性があると指摘したアナリストのリポートが大きな反響を呼んでいる。具体的にどういった問題があるのかは不明だ。

 問題を指摘したカナダの調査会社Canaccord Adamsのアナリスト、ピーター・ミセック氏の3月1日付のリサーチノートが、Apple Insiderなど多数のサイトやブログで引用されている。「Appleでは、iPadのメーカーであるHon Hai Precisionにおいて製造上の問題に直面している。このため3月中はiPadの発売地域が米国に限定され、供給台数も30万台程度にとどまる見通しだ」とミセック氏は記している。「発売が4月に延期される可能性もあるが、2010会計年度のiPadの販売台数は120万台に達する見込みだ」と同氏は付け加えている。

 一方、米Conde Nastなどのコンテンツデベロッパーでは、iPadの9.7インチのタッチスクリーンと3G接続機能を活用するアプリケーションを開発中だ。3月1日付のNew York Timesの記事によると、Conde NastがiPad向けに提供する最初のコンテンツには「Wired」「GQ」「Vanity Fair」「The New Yorker」などが含まれる。伝えられるところによると、コンテンツをめぐるAppleと各社との交渉の中には、数社の番組製作会社がiTunes StoreでTV番組を1本に付き1ドルで提供するという話もあるようだ。

 iPadは、携帯端末分野での認知度と市場シェアを強固にすることを狙うAppleの戦略に沿った新製品だ。同社は現在、少なくとも数量的にはモバイルアプリケーション市場を支配している。米市場調査会社IDCによると、AppleのオンラインApp Storeに登録されているアプリの数は、今年末までに約30万本に増える見込みだ。AppleではiPadのリリースまでに同端末向けのアプリを約14万本用意する予定で、iPad用のプログラムを開発するためにiPhone SDK 3.2β版をダウンロードするよう開発者に促している。

 Appleのモバイルアプリケーションのエコシステムが拡大するのに伴い、同社はApp Storeの監視を強化しており、一部のアダルト系アプリを削除するとともに、意図的に好意的な製品レビューを投稿した開発者を同ストアから排除した。Appleのワールドワイド製品マーケティング責任者フィリップ・シラー氏は2月22日付のNew York Timesの記事で、コンテンツが「非常に下品で不快になってきた」とする苦情が複数の団体から寄せられたと語っている。一方、Sports Illustratedなど著名企業のアダルトアプリはApp Storeに残されている。

 ブロガーや開発者たちは2月24日、開発者が新しいアプリをApp Storeに提出するために利用するiTunes Connect Systemで「Explicit(露骨な表現)」というカテゴリーがあるのに気付いた。だがこのニュースが広がるや否や、同カテゴリーが消えた。これがテストだったのか、それとも不具合だったのかは不明だ。

 いずれにせよ、iPadのリリースへの期待は、iPhone OSに対応したアプリを開発するサードパーティーデベロッパーの急増につながったようだ。モバイル市場調査会社Flurryは2月12日付のブログ記事で、iPhone OS向けアプリに組み込まれたFlurryの分析ツールの数が、昨年12月から今年1月の間で3倍に増えたことを指摘している。同社のマーケティング担当副社長ピーター・ファラゴ氏によると、これらの数字は「1月に行われたAppleのiPad発表会が生み出した興奮」の大きさを示すものだという。

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