ITmedia NEWS > 製品動向 >

70V型の裸眼立体視ディスプレイやARの3D化も 花咲く3DDisplay 2010

» 2010年04月14日 18時09分 公開
[小笠原由依,ITmedia]

 フラットパネルディスプレイを集めた展示会「Display 2010」(東京ビッグサイト)が4月14日に開幕した。世界最大となる70V型の裸眼立体視ディスプレイや、複数の液晶パネルを重ねることで立体的に見せる「マルチレイヤーディスプレイ」など、今年も3D関連の展示が目立った。

世界最大、70V型裸眼液晶立体視ディスプレイ

photo 70V型裸眼液晶立体視ディスプレイ

 ニューサイトジャパン(東京都港区)のブースでは、70V型の裸眼立体視ディスプレイが展示されていた。液晶ディスプレイとしては世界最大だという。

 立体表示は視差バリア方式を採用。パネル上に配したバリアにスリットを入れ、左右の目に異なる映像を見せる仕組みで、視野角の広さが利点だという。

 デジタルサイネージやアミューズメント関連での利用を想定し、法人向けに販売する。将来は3Dテレビの家庭向け販売も目指すとしている。

 広告用にインパクトのあるディスプレイがほしいというニーズがあったため開発。視差バリア式では、パネル上にバリアを貼るため、プラズマに比べて輝度の高い液晶パネルを使いたかったという。ベースになる液晶ディスプレイの低価格化が進んだことも開発理由だとしている。

 完全受注生産で、6月から受注を開始。価格は300万円代を予定。

ディスプレイが盛り上がるよう?! マルチ・レイヤー・ディスプレイ

photo マルチレイヤーディスプレイ

 米国企業の日本法人・ピュアデプス(東京都千代田区)は、液晶パネルを複数枚重ね、物理的に奥行きを生み出して立体映像を見せるマルチレイヤーディスプレイ(MLD)を展示していた。

 2層以上の液晶パネルを重ね合わせた構造。映像内の手前に当たる部分を手前のパネルに、奥に当たる部分を奥のパネルに表示。レイヤーを分けて別々のパネルに表示することで奥行きを表現する。「2Dの絵を2枚重ねることで、1枚で再生する3Dより奥行き感が出せる。視差を利用していないため、長時間の視聴でも目が疲れない」(ピュアデプスの永田豊社長)という。

 デモでは、古代エジプトのファラオの顔がぬっと浮き出ていた。自然な立体感で、ディスプレイが盛り上がっているようにも見える。真横からディスプレイを見ると、2枚のディスプレイが重ねられ、別々の映像が表示されているのが分かる。

 再生できるのは専用コンテンツのみだが、同社が提供する開発ツールを利用すれば、既存の3Dデータも変換できるという。

 同技術は、もともと航空管制室で航空機の動きを立体的に管理するために考えられたという。米国のカジノなどで利用が始まっているほか、日本でもパチンコ・スロット機で数万台に採用されている。

 今後は、携帯電話やスマートフォン、ポータブルPCなどでの採用も目指すとしている。

3D立体視ARも

photo 3D立体視AR

 VMJ(東京都千代田区)は、同社が販売するドライバを利用し、AR(拡張現実)オブジェクトを立体視ディスプレイで映すデモを実施。マーカの上に浮かぶ小型自動車が飛び出ていた。

 ドイツのVisuMotionが開発した映像変換ドライバ「Deep Outside 3D .Z」を利用。DirectXを利用して開発したゲームやOpenGLによるCADデータが対応可能で、ドライバを起動した上で、対応ゲームやARシステムを立ち上げると、リアルタイムに3D映像に変換する。

 3D表示は視差バリア式のディスプレイのみ対応。3D立体視ARは世界初だという。コンテンツプロバイダーと協業し、「今後もARと組み合わせたサービスを提供していきたい」(同社の鈴木直人さん)としている。

 同社のブースでは、5つのカメラを搭載した3D映像撮影用カメラ「EYE 5」や、3D変換ドライバを使って立体視化したゲーム画面のデモなども実施していた。

photophoto EYE 5。1〜5視点の3D映像を撮影できる。2Dディスプレイと立体視ディスプレイをつなぎ、立体感を確認しながら撮影するという。ファッションショーなどの撮影がおすすめとか

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.