「『au Android』で反転攻勢に出る」──KDDIが10月4日、シャープと共同で発表したスマートフォン「IS03」。12月にKDDI社長に就任する田中孝司専務は、「1台持ちにこだわった」という自信作を手に「auの本気度を見せたい」と意気込む。
11月下旬以降に発売予定のIS03は、スマートフォンとしては初めておサイフケータイ機能を備えたほか、フルタッチ操作対応の3.5インチ液晶ディスプレイ(960×480ピクセル)、ワンセグ視聴機能、有効957万画素カメラを備える。ディスプレイ下部には、メインディスプレイがオフの状態でも表示可能な「メモリ液晶」を装備。ケータイのサブ液晶のように、時計やバッテリー残量を常時確認できる。
Flash Lite 4.0搭載によりFlashの表示も可能。OSはAndroid 2.1だが、時期は未定ながら2.2へのアップデートに対応する予定だ。
「2台持つのはもう我慢できないのではないか。われわれは1台持ちにこだわり、何が必要か詳細に調査した」(田中専務)。スマートフォンが欲しくても、対応機能を考えて従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)と“2台持ち”するか、スマートフォン購入を見送ってきたユーザーに“1台持ち”を決断させる目玉機能としておサイフケータイ機能を装備。電子マネーはまず「WAON」が対応し、「モバイルSuica」が2011年度上期中、「nanaco」が11年中、「Edy」が11年1月に対応する予定だ。
また同じシャープ製のAndroid端末「IS01」と同様、ワンセグチューナーや赤外線通信ポートやezweb.ne.jpアドレスによるメール送受信、デコメ、Cメールにも対応。緊急地震速報や「LISMO!」や「au one ナビウォーク」など、auのフィーチャーフォンでおなじみのサービスに加え、提携した中国Rekoo Mediaによるソーシャルサービス「サンシャイン王国」などにも対応。田中専務は「ケータイの才能を引き継ぐ革新的なスマートフォン。やっと1台持ちのスマートフォンができた」と胸を張る。
社長昇格を発表する先月の記者会見で「KDDIはスマートフォンへの対応が遅れた」と率直に認めた田中専務。IS03の発表会でも「auのスマートフォンは遅れているとよく言われているが、IS03はかなりこだわってきた。日本のユーザーにはあれがなければ、これがなければ……と悩んできて、シャープの協力を得ていいものができたのでは」と話す。
新たに「Android au」ブランドも設定し、出遅れたスマートフォン市場で「反転攻勢」に打って出る。テレビCMには、陸上短距離で異次元の速さを見せつけたウサイン・ボルト選手を起用、「未来へ行くなら、Androidを持て」とスピード感のある映像で新端末を予告。「全社のすべてのリソースを使ってIS03を知っていただきたい」とダッシュをかける。
IS03は5日に開幕するCEATEC JAPANに実機を展示するため先行発表。このほかのスマートフォンやフィーチャーフォンの秋冬モデルは10月18日に改めて発表する。そこでは「禁断のアプリを発表したい」(田中専務)という。
Androidは今後のシェア拡大が見込まれる一方、オープンなプラットフォームだけに差別化が難しいという指摘もある。KDDIの増田和彦コンシューマ事業本部サービス・プロダクト企画本部長は「auのこだわりをどこで出すか検討を進めている。フィーチャーフォンは各社独自のプロダクトだったが、もうそういう時代ではなく、各社とも知恵を絞ってくるだろう」と話し、「auらしさを体感してもらいたい」と18日の発表に期待を持たせた。
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