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iPadやAndroidタブレットでは生き残れない世界(2/2 ページ)

» 2010年11月12日 07時30分 公開
[Wayne Rash,eWEEK]
eWEEK
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 前出の機関整備士は、整備のために燃料噴射装置を引き寄せ、特定のエンジンと特定の装置の取り扱い手順を1つ1つたどっていった。当て推量で作業することはない。重い紙のマニュアルが入った箱――かつては軍の整備部と一緒に移動していた――もない。現場や戦場にはタブレットを持って行く。より効率的な作業に必要だからだ。

 過酷な状況下で使える携帯型コンピュータの必要性は以前から認識されてきた。わたしは若いころ国防補給庁で海軍士官として働いていたが、そのときから既に、兵士が持ち歩かなければならない紙をなくすために、マニュアルや機械図面などのメンテナンス用資料をデジタル化するプロジェクトが計画されていた。

 そのときにはもう、電子マニュアルに移行するだけで、海軍船から数千ポンド分の重さの機器マニュアルを排除できるという試算が出ていた。当時は移行できなかったが、その後状況が変わり、過酷な状況向けの頑丈なタブレットの必要性が出てきた。

 カギとなるのは過酷な状況下でのコンピューティングだ。iPadなどのおしゃれな消費者向けタブレットは注目を集めているが、「本物の仕事」に使われているのは、衝撃吸収材とチタンのケースで守られ、飛散防止スクリーンを備えたタブレットだ。

 これらのデバイスはかっこよくないし、軽くもない。iTunesの動画も再生できない。その代わり、3重の防水機構、マグネシウムのフレーム、コンパートメント化されて密閉された構造を備えている。軍関係者が航海したり、地図を読んだり、ロボットを操縦する役に立つ。軍務の遂行を可能にするタンク車、トラック、航空機、船を修理するのに必要な情報を保管している。

 本物の仕事をしなくてはならない現実世界で、工場で、油田採掘場で、フライトラインで、パトカーで、タブレットコンピュータが本物の仕事を手助けしているのが見られるだろう。これらの機器はセクシーではないし、Windows XPよりも新しいOSは入っていない(Windows 7が載るようにはなるだろうが)。だが、故障の話はめったに聞かない。たまに、数日水浸しになった後でブートしなくなったり、10年間ほこりにまみれた末に故障したり、一発の弾丸にやられることもあるが。

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