宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月10日、探査機「あかつき」の金星軌道投入時、燃料タンクの圧力が想定より低下していたと発表した。燃料を押し出すガス配管の目詰まりなどの理由が考えられるが、「先入観を排除してあらゆる可能性を探る」と中村正人プロジェクトマネージャは話す。
あかつきは軌道制御エンジン噴射時、高圧ガスを燃料タンクに送って燃料を押し出し、エンジンに燃料を送り込む仕組み。燃料タンクの圧力は、燃料送出時に一時的に低下するものの、調圧機能が働いて一定レベルをキープするはずだった。
だが燃料タンクの圧力はエンジン噴射直後から低下し続け、燃料不足が起きていたことが分かった。原因としては、ガスを送る配管内のフィルターなどに目詰まりが起きた可能性が考えられるという。
加速度にも異常がみられた。エンジン噴射から2分32秒後に加速度が急激に低下。同時に突然姿勢崩れ、最大で42度傾いたという(前日の発表では360度回転したと説明したが、間違いだったとして訂正した)。機体が傾いた原因は燃料タンクの圧力低下だけでは説明できず、今後、調査していく。
6年後の金星周回軌道再投入に向け、年末から来年にかけ、あかつきの機器の性能試験などを行った上で、来年半ばにも機器の消耗を最小限にする“冬眠”状態に入る。燃料の残量については、「重さを量る手だてがない」(石井信明プロジェクトエンジニア)ためはっきりと分かっていないが、再投入に十分な量が残っている可能性が高いという。
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