米Appleは6月6日(現地時間)、サンフランシスコで開催の年次開発者会議「Worldwide Developers Conference 2011」において、Mac、iOS端末、PCで利用できる無料のクラウドサービス「iCloud」を発表した。同日発表された次期モバイルOSの「iOS 5」のリリースに合わせ、今秋に利用可能になる。iOS 5搭載端末および「Mac OS X Lion」搭載Macからサインアップできる。
うわさされていた年額25ドルの音楽クラウドサービスはiCloudではなく、iCloudのオプションとして利用できる「iTunes Match」というサービスだった(後述)。
iCloudは、以下のサービスをAppleが北カリフォルニアに新設したデータセンターを含む3つのデータセンターで運営するクラウドでホスティングする。
iTunesでダウンロード購入した楽曲を、すべての端末でダウンロードできる。新たに購入する場合は、すべての端末に自動的にダウンロードされる。
CDからリッピングした楽曲を共有するためには、年額24.99ドルのオプションサービスiTunes Matchを利用する。このサービスは米国でのみ利用可能だ。iTunes MatchがユーザーのiTunesのライブラリをiTunes Storeで販売している1800万曲以上の楽曲と照合し、マッチしたものを全端末でダウンロードできるようにする。どのようなレベルでリッピングした楽曲でも、すべて256kbps AACのDRMフリー版に変換される。米Amazonの「Cloud Drive」や米Googleの「Music Beta by Google」では手持ちの楽曲をユーザーが手動でアップロードする必要があり、それには場合によっては数週間かかるが、iTunes Matchでの楽曲照合には数分しかかからないという。Amazonのサービスは月額50ドルでアップロードできる楽曲は5000曲まで、Googleのサービスはβ段階では無料で、約2万曲まで。
iOS 4.3.3とiTunes 10.3を搭載する端末で利用できるiTunes in the Cloudのβ版が同日、米国ユーザー向けにリリースされた。
「Photo Stream」機能で、iOS端末で撮影した写真やインポートした写真が自動的にiCloudにアップロードされる。ただし、写真のストレージとして使えるわけではなく、保存できるのは常時1000枚までで、アップロードされた写真は30日間だけ保存される。写真をすべての端末で共有できるようにするための機能なのだ。Photo Stream機能はiOSの写真アプリとMacのiPhotoに組み込まれており、PCでは写真はピクチャフォルダにダウンロードされるほか、Apple TVでも利用できる。iCloudに保存されるのは最新の1000枚までだが、MacとPCではPhoto Streamからの写真をすべて保存できる。
従来オンラインサービスの「MobileMe」で、年額99ドルで提供してきたアドレス帳、予定表、mac.comメールの機能を無料で提供する。MobileMeを流用するのではなく、システムをゼロから再構築したという。iCloudを利用しているいずれかの端末で更新を行うと、iCloudと自動的に同期され、すべての端末で最新の情報を共有できる。予定表は、家族や友人と共有することも可能。
現行のMobileMeユーザーは2011年6月まで同サービスを利用できる。MobileMeからiCloudへの移行方法については、追って発表があるようだ。
オフィススイート「iWorks」のPages、Keynote、Numbersのドキュメントが自動的にiCloudにアップロードされ、編集結果が同期される。
iPhone、iPad、iPod touchを毎日、充電中に自動的にWi-Fi経由でバックアップする。バックアップするのは購入済みの音楽、アプリ、電子書籍、写真と動画、端末設定、アプリデータ。新たにiOS端末を購入した場合、セットアップでiCloudのバックアップを新端末にリストアできる。
App StoreおよびiBookstoreからダウンロード購入したiOSアプリと電子書籍を、すべての端末(最高10台まで)で共有できる。端末でiCloudアイコンをタップし、購入履歴から欲しいコンテンツをダウンロードできる。この機能は同日から利用できる。
メール、バックアップ、ドキュメント共有で利用できるストレージ容量は5Gバイトだが、音楽、アプリ、電子書籍、Photo Streamの写真の保存はその5Gバイトには含まれない。また、ユーザーはストレージを有料で追加できる(詳細は秋の立ち上げ時に発表)。
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