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ソニー、3G+Wi-Fi対応の「Reader」新製品 Kindleとは「向かう方向が違う」

» 2011年09月29日 16時27分 公開
[本宮学,ITmedia]

 ソニーは9月29日、電子書籍端末「Reader」の新製品2機種を発表した。Wi-Fi通信に対応した「PRS-T1」を10月20日、3G+Wi-Fiモデルの「PRS-G1」を11月25日に発売する。価格はオープンで、実売予想価格はPRS-T1が2万円前後、PRS-G1が2万6000円前後。

photophoto PRS-T1(写真=左)、PRS-G1(写真=右)
photo ソニーの野口不二夫氏(コンスーマープロダクツ&サービスグループ VAIO&Mobile事業本部デジタルリーディング事業本部)

 新製品はともに6インチの電子ペーパーと光学式タッチパネルを採用した。従来機(PRS-650)の機能に加え、「赤外線を利用したタッチパネルではこれまで不可能だった」(ソニーの野口不二夫氏)というピンチ操作による画面の拡大/縮小に対応したほか、3GやWi-Fiによる通信によって端末側から「いつでもどこでも」電子書籍コンテンツを検索・購入・ダウンロードできるようにした。

 3G回線はKDDIを採用。専用の書籍ストア「Reader Store」に接続するための3G通信を「最大で2年間無料」(3年目以降は年額1050円)で利用できるという「Reader Storeプラン」と、ブラウザで自由にWebを閲覧できる月額580円(税込)の定額制「Webアクセスプラン」の2通りを用意した。

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 新製品はそのほか、ネット接続を通じて電子書籍内の文章からWikipediaやGoogle検索などにリンクできる機能などを追加している。

 「通信機能を追加しながら、昨年のモデルよりも最大で約50グラム軽量化」したのも特徴だ。本体重量はPRS-T1が約168グラム、PRS-G1が約185グラムと、前身モデルのPRS-650(約215グラム)と比較して約30〜47グラム軽量化した。

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 1回の充電で、PRS-T1では約2万ページ(文庫本60冊分程度)の読書が可能で、1日30分の読書の場合、最長で約7週間利用できるという。PRS-G1では約1万4000ページ、最長5週間の読書が可能となっている。

 対応フォーマットは著作権保護付きXMDFとドットブック、EPUB、PDF、テキストファイル。また今後、端末の無償アップグレードによってEPUB 3.0にも「今年末もしくは年明けを目標に」対応していくとした。

 PRS-T1のサイズは約110(幅)×173.3(高さ)×9.6(奥行き)ミリ。PRS-G1のサイズは約110(幅)×173.3(高さ)×10.1(奥行き)ミリ。両製品ともに内蔵メモリ容量は2Gバイトで、使用可能領域は約1.4Gバイト。

photo ソニーマーケティングの松原昭博執行役員(左)、野口氏

 米Amazon.comが9月28日(米国時間)に発表した電子書籍端末「Kindle Touch」との価格競争関係について、野口氏は「ReaderのWi-Fiモデルの米国での販売価格は149ドル。Amazon新製品のWi-Fi対応モデルは99ドルと言いつつ広告付きの価格で、広告なしのモデルは139ドルとなっている。つまり実際のところは10ドルしか差がないし、商品としては負けていないと考えている」と述べた。

 また、Kindleと比較した場合の優位点について、野口氏は「端末に関しては使ってみていただければ分かると思う。かゆいところに手が届くように作ってある」とし、「ソニーは早い時期からタッチパネルを採用しており、タッチパネルを用いて(本物の)本のような電子書籍の体験を提供することが目標。Amazonとはサービスも向かう方向が違うし、ビジネスモデルも違うので、競合関係の中でどうするかということよりも、今後はソニーが持っているビジネスモデルをどのように大きくしていくかが問題」とした。

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