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振り込め詐欺を電話の声から見破る新技術、富士通と名大が開発

» 2012年03月19日 20時15分 公開
[本宮学,ITmedia]

 富士通と名古屋大学は3月19日、いわゆる「振り込め詐欺」の通話を高精度で自動識別できる技術を開発したと発表した。警察庁などと協力し、携帯電話を使ったプロトタイプによる実証実験を今月から始める。

photo 振り込め詐欺誘引通話の検出とサポートの例

 悪質な通話相手から心理的抑圧を受け、嘘の情報を信じ込みやすくなっている「過信状態」を検出し、本人や家族などに警告して注意を喚起することで、振り込め詐欺の被害防止につなげる。

 過信状態の検出では、従来は会話中に現れるキーワードから自動的に判断する技術が用いられてきた。だが心理的抑圧下では発声がはっきりしないことがあり、キーワード検出のみでは精度が不十分だったという。

 新技術では、被害者側の声の高さや大きさの変化から、過信状態らしさを推定する技術を世界で初めて開発。これに「借金」「補償」といった特徴的なキーワードだけを抽出する音声認識技術を組み合わせ、過信状態の推定と抽出キーワード数によって判定するようにした。実験では9割以上の精度で振り込め詐欺の通話であることを判断できたという。

photo 声の高さと大きさの変化の例

 同技術を搭載した携帯電話などを使い、警察庁(警察大学校)、名古屋銀行と協力して実証実験を実施。さまざまな振り込め詐欺事例に対する実用性を検証していく。

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