──VOCALOIDの英語曲をYouTubeで出すと、すぐに「発音がおかしい」といったコメントが付くなど、チェックが厳しいんですけど。
佐々木 英語のデータベースに関しては、日本語よりも発音記号が多くて、VOCALOIDが得意な発音記号や音の流れもあれば、そうでないものもあり。音素の都合で失敗しやすいものもあればそうでないものもある。
うちではよく歌で使われる単語の発音記号だったりを調べ、英語の音素の使用頻度というものを分析して、歌の中でよく使われる音の流れについてはもの綿密なチェックをしてます。例えば発音記号ABCと並んだときに、歌の中ではこの並びになる確率は0.0何パーセントみたいなものもけっこうあるんですよ。そういったものは割と機械的な発音記号レベルとしておかしくないかのチェックにとどめたりもしたんです。
──組み合わせを果てしなくやるわけですからね。
佐々木 そうですね。英語データベースは担当者が別にいるんですけど、辞書とか歌とかを分析して音の流れとして出て来る確率とか、接続詞として出て来るパターンとかは、独自のデータを作って蓄積して創成していきます。ルカの英語データベースの頃から蓄積がありました。
──V3の英語版の成年男子VOCALOIDは初めてですよね。世界的に待望されているわけですが。
佐々木 ほかのVOCALOIDとの比較は考えていないのですが、今回のKAITOは、音の厚み、芯の部分で扱いが悪くないものが録れていると思います。STRAIGHTは、オケと馴染みやすく、最近の音圧が高い楽曲にもそこそこ合うし、WHISPERはアンプラグドな雰囲気にもあうし、汎用性が高いものだと感じて頂けるとうれしいですね。また、うちはデータベースを複数ワンセットにして販売するというある程度の方向性がありますから、そういう意味で値ごろ感をだして。Piapro StudioやStudio Oneもワンパッケージで音作りが出来るという方向性なので、気軽に使ってほしいと思っています。
インタビュー後編では、クリプトン独自のボーカルエディタ「Piapro Studio」や、ソフトウェア音源を備えたオーディオ編集もできる「Studio One」といった、KAITO V3を構成する残りの機能について掘り下げています。
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