「Apple Musicは最初の3カ月無料だということはみなさんご存じでしょう。でも、その3カ月間、Appleが作詞作曲家、プロデューサー、アーティストに支払わないことはご存じですか?」──人気アーティストのテイラー・スウィフトは6月21日(現地時間)、自身のブログで、Appleが「Apple Music」の無料お試し期間中、アーティストらに対価を支払わないことに抗議するため、最新アルバム「1989」を引き上げると発表した。
スウィフトは、「Appleはずっと、そしてこれからも、私の音楽販売とファンとのつながりを作ってくれる最高のパートナーの1社であるはずなので、今回の決断について説明する必要があると思います。私は同社を尊敬しています」としつつも、3カ月アーティストに支払わないことについて「ショッキングでがっかりし、これまで革新的で寛容だった同社らしくないことだと感じ」たという。
スウィフト自身はアルバムセールスも好調で、(3カ月の支払いがなくても)問題ないが、初めてシングルをリリースする新人や若い作曲家、「Appleのクリエーターと同じように懸命に働く」プロデューサーにとっては大きな痛手だと主張する。
「Appleが(Spotifyのような広告ベースのサービスではなく)有料のストリーミングサービスを提供することは素晴らしいと思います。(中略)また、この素晴らしい企業が無料の3カ月間、アーティスト、作詞作曲家、プロデューサーに支払うだけの十分なお金を持ち合わせていることも知っています」(スウィフト)
「Appleがこのポリシーを変更し、この件で大きな影響を受けるであろう音楽業界の人々の気持ちを変えることはまだ可能だと、敬意を込めて提言します。私達はiPhoneを無料にしろとは言いません。どうか、私達に音楽を無料にしろと言わないでください」とスウィフトはブログを締めくくっている。
このブログには、本稿執筆現在2万2619件のコメントがついており、ほとんどがスウィフトを支持するものになっている。
テイラー・スウィフトは昨年11月、有料サービスと広告ベースの無料サービスを提供しているスウェーデンSpotifyに「音楽は無料であるべきではない」と主張し、自身のすべての楽曲をSpotifyから引き上げた。
【UPDATE】この抗議文公開の約16時間後、AppleでiTunesおよびApple Musicを統括するエディ・キュー上級副社長が自身の公式Twitterで、スウィフトやインディーアーティストの声を聞き入れ、トライアル期間中も対価を支払うとツイートした(詳細記事)。
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