オムロンは10月2日、人間と卓球のラリーをするロボット「フォルフェウス」の4代目を発表した。新たにサーブ機能や、AI(人工知能)技術を使ったスマッシュ予測機能を追加している。「CEATEC JAPAN 2017」(10月3日〜6日開催)で展示する。
フォルフェウスは、センシング技術やロボット制御など、同社が持つさまざまな技術を具現する“アイコン”として、2014年に登場した卓球ロボット。市販品と自社製品だけで開発しているのが特徴だ。
毎年進化を重ねてきたが、4代目には「初心者から上級者まで楽しめる」をテーマに、「サーブ機能」と「スマッシュ予測機能」を追加した。
サーブ機能は、同社の垂直多関節ロボット「Viper 650」を使って実現。Viper 650が人間の手のようにしなやかにトスを上げ、本体がボールを打つ。Viper 650と本体は100分の1秒以下の精度で同期制御しているという。
これまでのフォルフェウスは、人間側がサーブをする必要があった。4代目は初心者にとって難しいサーブを代わりに行い、ラリーの開始を補助する狙い。
オムロンの浅井恭平さん(AI制御担当)は、「普段は工場で部品のピッキングをするアームロボットを活用した。球を上げる前に一瞬手を沈み込ませる動作や手首のスナップなど、人間のトスの動きを研究し、再現した」と話す。
上級者向けにスマッシュ予測にも対応。フォルフェウスに搭載する人体センサーで相手の動きを検知し、AI技術「時系列ディープラーニング」で解析。事前に収集した30人ほどのデータを基に、相手がスマッシュを打とうとする気配を読み取り、スマッシュに備えるという。卓球の球を追従するアルゴリズムも高速化し、時速40〜80キロのスマッシュに対応できるとしている。
フォルフェウスにも搭載するセンシング技術は、製造現場での作業支援や、医療分野でのバイタルデータ取得などに活用するという。
同社の宮田喜一郎CTOは、「フォルフェウスの進化の方向性は2つある。上級者向けに強くするか、高齢者などのリハビリに使えるように初心者向けにするか。後者の方が需要は大きいと思うが、『人と機械の融和』をベースに、よりニーズが強い方向で開発していきたい」と語った。
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