「Signature Series」の新製品として、イヤフォンのフラグシップモデル「IER-Z1R」が発表された。欧州での発売時期は11月以降になる見込みで、価格は2200ユーロ(約28.6万円)を予定している。
新規設計のものを含む、ダイナミック型とバランスド・アーマチュア型(以下、BA型)のドライバーを組み合わせた「HDハイブリッドドライバーシステム」を搭載。低中域を12ミリ径のダイナミック型、高域をBA型、そして超高域を5ミリのダイナミック型ドライバーでそれぞれカバーするというユニークな設計だ。
ダイナミック型とBA型ドライバーの振動板、および全てのドライバーをハウジングの中に格納するインナーハウジングの素材には、音響特性に優れるものの、貴重で高値な金属素材であるマグネシウム合金をぜいたくに使った。音抜けを巧みにコントロールする独自構造の音響室(ハウジング)も合わせ、切れ味の豊かな鋭い低音、クリアなボーカルと伸びやかなハイトーンを実現していた。
ケーブルは無酸素銅の銅線に純銀コートをかけ、さらにツイストペア構造として伝送ロスを減らしたもの。ケーブルの交換にも対応しており、イヤフォン側の端子には汎用性の高いMMCXを採用した。
ハウジングの素材は高い硬度と耐腐食性を持つジルコニウム合金。ペルラージュ加工をフェイスプレートに施して高級感を持たせている。
イヤフォンの新製品は他にもある。欧州での発売は未定ながら、参考出品としてBA型ドライバーユニットを採用した“ステージモニター”「IER-M9」「IER-M7」の2モデルが展示された。
ステージ演奏のグルーブ感がコンセプトの新シリーズで、鋭い低音のビートへのレスポンス、スムーズにつながる音のバランス、そして鮮やかな音色再現を意識してチューニングしたという。
上位のIER-M9は5基のBA型ドライバーによる5Way構成。IER-M7は4基のドライバーで4Way構成とした。上位モデルは高域用ドライバーの振動板にマグネシウム合金を採用。どちらのモデルも音漏れや外音の侵入を減らしながら自然なサウンドが再現できるよう、イヤフォン側リケーブル端子のコネクター部分に通気孔を設けている。
カーブの形状をある程度固定したうえ、柔らかさを持たせて様々な耳の形状に合わせられる「プリフォームドイヤーハンガー」は新規開発したもので、本機が初採用となる。リケーブル対応のコネクターは、やはり汎用性の高いMMCXだ。
ハイエンドクラスのヘッドフォン新製品として「MDR-Z7M2」も登場した。欧州での発売は9月以降で、価格は800ユーロ(約10万円)が見込まれている。
2014年に発売された「MDR-Z7」の後継機となる密閉型のプレミアムヘッドフォン。外観は大きく変わっていないが、内部に様々な改良が加えられた。例えば70ミリ径の振動板は従来機と同じアルミニウム被膜の液晶ポリマー素材だが、中心のドーム部分を大型化。さらにマグネットのサイズも大きくしたことで、入力信号に対するレスポンスが向上し、特に中低域の再現力に大幅な余裕が生まれた。中高域の音の明瞭(めいりょう)さも高くなったので、まるで開放型ヘッドフォンで音楽を聴いているようなクリアなサウンドだ。
音質に磨きがかかったもう1つの理由は、振動板を保護するグリルの形状にフィボナッチ数列を採り入れた曲線パターンを採用したこと
。これにより、開口部の広さが均等化され、フラットで滑らかな音が再現できるのがメリットだ。特に100kHzに達する超高域の再生特性がより滑らかになっているという。
ハウジングは周囲に音抜け用の通気口を多く配置し、振動板の動作を阻害しない作り。低域のリズムの切れ味に鋭さが増し、音像の立体感の向上にもつながるという。ヘッドフォンケーブルは本体の左右から両出しタイプ。プラグは3.5ミリ径のロック機構付きとなっている。
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