「嗅覚系デバイス」を開発するベンチャーのVAQSO(バクソー)は11月21日、VR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレイに取り付け、最大5種類の匂いを出せるデバイス「VAQSO VR」(Dev kit)を開発者向けに発売した。VR映像と匂いが連動し、よりリアリティーが高いVR体験が可能になるとアピールする。価格は999ドル(税別、送料は一律10ドル)。11月末から出荷する。
VAQSO VRは、匂いが出るカートリッジを最大5種類まで取り付けられるデバイス。「Oculus Rift」「HTC VIVE」など市販のVRヘッドマウントディスプレイの前面に巻き付けるように面ファスナーで装着して使用する。
海や森の匂いの他、コーヒー、カレーといった食べ物、ゾンビ(腐敗臭)、女性(振り返ったときのシャンプーの香り)など15種類の匂いを用意。デバイス購入時は5種類までしか付いていないが、1種類当たり70ドルで追加購入が可能だ。法人向けに、1種類当たり3000ドルで匂いのオーダーメイドで開発も行う。
VRコンテンツ開発者は、同社が公開する無料のAPIを使うことで、VR映像と連動して匂いを出し分けたり、瞬間的に消したりできるという。本体サイズは、約147(幅)×約83(奥行き)×約30(高さ)ミリ、カートリッジを装着していないときの重さは125グラム。Micro USBでノートPCと接続する。
今回の開発者版は、VRゲームを開発するスタジオや、映像広告を手掛ける企業などをターゲットに売り出す。一般向けには2019年内に200ドル程度で発売する予定。
VAQSOの川口健太郎CEOは「映画の歴史と似ている。映像が白黒からカラーに変わったように、VR映像に匂いを加わることで新しい映像体験を実現したい」と意気込んでいる。
記者(風邪気味)は、桃とオレンジ、コーヒー、マッチの火の匂いを体験した。デバイスを装着すると、その前に試遊した人が体験した別の香りが少し残っていたが、VR空間内でオレンジを鼻に近づけると、すぐに甘酸っぱい香りに切り替わった。香りが混ざるようなことはなかった。
川口CEOは「顔を覆うようなマスク型ではなく、(匂いが滞留しないように)開放する構造になっている。匂いの出し方も指向性が高く、鼻元にピンポイントに届く」と説明する。
湯気が上がるコーヒーの映像に心地よい香りがプラスされ、地下迷宮のような場所でマッチに火を付けると煙の臭いがした。匂いを出す際、ファンが作動する音がやや気になったが、自身がVR空間により溶け込めるように感じた。
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