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今こそ考える? ゴールド(金)投資の魅力渋谷豊の投資の教室(3/3 ページ)

» 2019年02月12日 10時38分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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(写真提供:ゲッティイメージズ)

渋谷: ゴールドは別名、鉱山のカナリアといわれています。屈強な鉱山マンが採掘に行くときに、昔は鉱山内にガス探知機がなかったのでカナリアを連れて行っていました。強じんな男たちがかわいいカナリアを連れていって、岩壁をハンマーでたたき採掘します。なにか微笑ましいですが、あるときカナリアがパタっと死ぬことがあります。それはカナリアがガスを吸って死んだからです。すると鉱山マンがガスが漏れている! と知ることができ、ガス漏れ事故に遭わないようにすぐに引き上げることができました。

 ゴールドは金融商品の中で「鉱山のカナリア」の役割を果たしているといわれています。リスクが台頭したときにはゴールドが上がると、格言としていわれています。でも、実際はインフレ期待が高まったときに価格が上がるので、「インフレ懸念が高まったときにゴールドは上がる」が個人的には正しいと思います。

ゴールドは持っているだけでは収入を産まない資産

渋谷: ゴールドを少し持ちたいよね、と思う人はインフレ対策として考えないと妙味がないですね。

 ほとんどの資産には利回りがあるんです。債券にしても株にしても不動産にしても、金利、配当、家賃収入があります。でもゴールドには金利収入がないんですよ。だから世の中が元気なときは全然おいしい投資ではない。だって利回りがゼロなんですから。ゴールドへの投資はインカムゲインがゼロ、キャピタルゲインしか狙えないんです。

 極端な話、100万円で買った資産から毎年2%コンスタントに金利が入ってくれば50年たてば元本がなくなっても収益はトントンになります。ゴールドの場合は金利がないので、元本が下がったら上がるしか取り戻す方法がないんです。投資の世界では、金利によって損益をカバー(キャリー収入)というものがあるのですが、ゴールドはカバーするものがない。だから買い方や買値が重要なんです。

話し手 渋谷豊

ファイナンシャルアカデミー取締役。中上級者向け講座では教壇にも立つ。大学卒業後、邦銀勤務を経て、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)を修了。その後、米系、仏系銀行のプライベートバンク部門にて、富裕層の資産運用業務に13年間従事。2008年の世界的金融危機を体験し中立的な金融アドバイスの必要性を痛感し、独立系投資顧問会社代表に就任した後、さらに幅広い層に金融経済教育を広めるためファイナンシャルアカデミーに参画。現在は投資信託スクールでの講師のほか、Jリーグの選手への講演等も行う。ファイナンシャルアカデミー

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