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» 2019年09月07日 07時00分 公開

特集・日本を変えるテレワーク:グローバルIT企業はテレワークをどう考えているのか? (2/2)

[芹澤隆徳,ITmedia]
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日本マイクロソフトの場合

 2019年8月に週勤4日の「ワークライフチョイスチャレンジ」を実施するなど、働き方改革で注目を集めている日本マイクロソフト。テレワークにも早くから取り組み、その自由度の高さには定評がある。事前申請や上司の許可は必要なし。コアタイムも存在せず、社内システムで勤務時間を入力するだけだ。

社員間の意思疎通には、テレビ会議機能も充実した「Microsoft Teams」を使用する

 もともとグローバル企業で、時差の都合で深夜にビデオ会議に参加したり、上層部が日本にいない時間も多かったりと特殊な事情を抱えていた同社。10年ほど前に一念発起し、社長や役員を含む「全社一丸」となってチャットやビデオ会議などテレワークツールを積極的に使うようになった。当時、都内6カ所にあったオフィスを1カ所に統合し、座席をフリーアドレス化したことも手伝い、急速に浸透したという。

 「対面にこだわっていると仕事が回りません。今では社長面談や経営判断を仰ぐプレゼンなども含め、全てビデオ会議です」

 もちろん、当初はチャットやビデオ会議に気後れする社員もいた。しかし2011年の東日本大震災では物理的に通勤できない状況となり、全員が否応なく在宅勤務を経験した。そして「意外と問題ない」と気づいたという。現在、日本マイクロソフトの就業規則には「全社員がテレワークを活用できる」と書かれている。

自由な勤務体制には責任が伴う

 この他、アップルジャパンとグーグル日本法人にも同様の質問をした。グーグル日本法人は「テレワークを含む、働く場所を選ばない柔軟な働き方を推進している」と回答。アップルは「社内のことはお話できない」としながらも、テレワークを前提としたサポートスタッフを募集しており、活用していることがうかがえた。

 インターネットを活用した求人求職情報サービスを手掛けるエン・ジャパンが国内の中小企業を対象に実施した2019年の「テレワーク実態調査」によると、導入済みの企業は全体の14%と2017年に比べて6ポイント上昇していた。「導入して良かったこと」は、子育てや介護で通勤が困難になった社員が継続勤務できること。一方で「難しかったこと」には、社員の「時間管理」「利用条件や業務ルールの設定」が挙がった。

テレワーク導入の上で難しかったことは何ですか?(複数回答可)の集計結果(出典はエン・ジャパン)

 例えばテレワーク中の部下に対して、上司は「目が届かない場所でサボっているのではないか?」と考える。部下は部下で「上司にサボっていると思われているのではないか」と気になって仕方がない。逆に「目が届かないところで働きすぎ(隠れ残業)の環境を生むのが困る」と考える企業も多い。労務管理の手法やルール作りが課題とされる理由だ。

 しかし、今回取材に協力してくれたIT企業の多くは社員の評価を成果主義にすることで、これらの課題をクリアしている。結果が出ていれば経過は問わない。このため勤務中の時間の使い方についても会社が目を光らせる必要はないという考え方だ。

 「ミッション達成に向けたインパクトによって評価をしています」(フェイスブック)

 「社員一人一人が仕事に対して責任と信頼を持って取り組むことが求められているので、どこでどのように、いつ働くかを選択することもごく自然なこととして理解しています」(アマゾン)

 「給与は勤務時間に対する報酬ではありません。その社員が発揮したパフォーマンスに対する報酬という認識です。『働いている姿』は評価に関係ないのです」(日本マイクロソフト)

 テレワークの導入を検討している企業は、労務管理システムやルール作りより、人事評価や社内の意識改革に取り組むべきなのかもしれない。マイクロソフトやフェイスブックは、働き方や評価に関する社内の共通認識を「カルチャー」と言い表した。社員全員が受け入れ、活用し、誇りにもしている。そんな思いが込められているような気がした。

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