「ヤベェ本を買ったぞ……」
たった一つのツイートをきっかけに、創業100年を超える老舗出版社でちょっとした騒動が起きた。
この「ヤベェ本」とは、平凡社が出版する学術書「有職装束大全」のことだ。日本に伝わる有職装束研究の第一人者である八條忠基さんが執筆した全320ページの大作で、2018年6月の発売以来、装束研究者を中心に高い評価を得ている。初刷は3000部で在庫はじわじわ減っていき、19年9月時点では数百部が残る程度だったという。
9月21日に冒頭のツイートが投稿されると、その状況が一変した。
同書を購入したrobin(@robiiiiiimmm)さんが「ヤベェ本を買ったぞ…」と有職装束大全の魅力をTwitterで紹介。この投稿は2万8000件以上のリツイートと6万3000件以上のいいねがつくほど拡散され、3連休明けの24日には日本全国の書店から大量の問い合わせが平凡社に押し寄せ、数百部あった在庫が一瞬でなくなった。Twitterがきっかけで重版が決定するという、学術専門書籍としては異例の事態に、平凡社の社員は大いに驚いたという。重版が決定したのは、21日のツイートから4日後、わずか2営業日後のことだった。
異例の重版が決まった現場で、一体何が起きていたのか。また、伝統的な装束文化に多くのイラストレーター(絵師)がTwitter上で関心を寄せたのはなぜなのか。有職装束大全の内容とその魅力から、天皇陛下が即位を内外に宣言する「即位の礼」(22日から)の注目ポイントまで含め、著者の八條忠基さんと平凡社の清田康晃さん(営業部 販売1課)、竹内清乃さん(編集2課長 「別冊太陽」編集長)に聞いた。
(編集:ITmedia村上)
──Twitterの投稿をきっかけに、有職装束大全の重版が決まりました。
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