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» 2019年10月25日 07時00分 公開

スポーツ紙の記者がAIベンチャーに転職 “素人”が半年でAIモデルを量産するまで (2/2)

[村上万純,ITmedia]
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 グリッドはユーザー企業向けに、GUIアプリケーションも備えるAIモデル開発プラットフォーム「ReNom」を提供しており、営業職なら機械学習の知識やツールへの理解が不可欠になる。

 AIについては「素人」だったため、入社前に会社から渡された“課題図書”でAIについて勉強した。宮崎さんは「プロ野球の沖縄キャンプ取材中に、松尾豊先生(※)の本などを読んでいました」と当時を振り返る。

※:日本におけるディープラーニング研究の第一人者である、東京大学の松尾豊特任准教授(関連記事

 入社後は、先輩社員の業務をサポート。日程調整や資料作りにいそしみながら、AIに関する勉強を続けた。「最初は、アノテーションなど言葉自体がよく分からない状態でした。数学や物理の知識もないですし、コーディングとは何だろうと思っていました。機械学習の仕組みも分からなかったです」(宮崎さん)

 分からないことは自分で調べ、それでも分からなければ先輩社員に質問した。これを繰り返すうちに、業務に必要な知識は徐々に身に付いていったという。

「まず、やってみる」の精神で

 入社から半年後、自社ツールがアップデートされたのをきっかけに、徐々にAIモデルの開発に携わっていった。1人で顧客のAIプロジェクトを担当するようになり、多いときは2カ月で6案件をこなすこともあったそうだ。

 宮崎さんは画像認識プロジェクトを担当することが多く、GUIツールを使ってデータの読み込みから、アノテーション(データのタグ付け)、モデル開発、モデルの精度評価までを行っている。「多い時にはGPUを4枚使って、金曜日の夜にさまざまなパラメータやアルゴリズムを設定したモデルを10〜20個くらい予約しておいて週末に学習させ、月曜日の朝にモデルの精度を比較したりしています。こうしたモデリングは、お客さまから画像データをもらって課題をヒアリングした上で試行錯誤します。時間がかかるんでしょうとよくいわれますが、集中すればモデリング自体は1日か2日でできます」と話す。

グリッドが提供するAI開発プラットフォーム「ReNom」

 「スポーツ一家で、私も体育会系なんです」と笑う宮崎さん。本を読むだけでは頭に入らないため、AIモデル開発について理解できるまで、ひたすらツールを使い続けた。実際に手を動かすことで、前処理やモデル開発の大変さ、AIプロジェクトでどこがつまづきやすいかなどに気付けたという。

 モデル開発を内製化したいと考える企業も多いというが、初めてAIプロジェクトを経験する企業は一からサポートする。「現場の課題についてはお客さまのほうが詳しいので、アノテーションを変えれば精度が上がるかもしれないといったアドバイスをしながら、伴走していきます。まずはツールを使ってモデル開発をすることで、どれくらいの精度が出るかを知ってもらう所からですね」(宮崎さん)

 初めて機械学習に取り組む企業には、あえて“AIの素人”だった自分のバックグラウンドを話すこともあるという。

 宮崎さんは、「ReNomの良さを伝え、お客さまに『やってみよう』と思ってもらうために、私のバックグラウンドを話すことはあります。AIは、やってみないと分からないので、やらないと損です。AIをやりたいと思っている人がいたら、実際にツールを使ってみてそのもやもやを発散してほしいです」と語った。

イベント告知

12月に2019年のAI業界を振り返るグリッド主催のイベントが開催されます。記事中に登場した宮崎さんの他、ITmedia NEWSで「マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!」を連載中のマスクド・アナライズさんも登壇する予定です。詳細は近日中にこちらのサイトにアップされます。

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