東京の鉄道施設がリニューアルラッシュを迎えている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が近づいているからだ。その中で最大規模ともいえる再開発、渋谷スクランブルスクエアが2019年11月1日に開業すると、渋谷を拠点とする交通システムが大きく変貌することになる。渋谷だけではない。新橋駅も新宿駅も長い時間をかけて工事が続いており、いま首都圏はあちらこちらで公共インフラの工事中だ。
今回のテーマは再開発関連でシステム化されたサイン計画に従ったフォントとデザインを取り上げる――ではなく「現場によるデザイン」ともいえる駅施設独自の仮設サインや案内板のフォントとデザインを観察してみたい。
仮設のサインや案内版は現場での手作りと思えるものが多く、その多くがプロのデザイナーによるものではない。おそらく、Adobe CCやモリサワパスポート、フォントワークLETSといった環境もそろっておらず、多くがWindows 8以前の環境でプリインストールされたMicrosoft Officeのアプリケーションだけで制作されているのだろうと推測できる。その環境で出力をして駅構内に掲示するということは、工事中であっても利用者になるべく不便をかけまいとする努力の表れにほかならない。
スクランブルスクエアのオープンに伴い駅構内の動線が整理された。このため渋谷SKYやビル内商業施設の誘導を含めた乗り換えサインがすでに掲示されている。スクランブルスクエアのデザインパターンを取り入れたサインは美しく、和文・英文のフォントサイズも適切でバランスが良い。しかしこのサインが設置されるまでは以下の写真にあるような仮設サインが各所で活躍することになった。
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