大規模な改良工事が続くのは新宿駅も。修悦体で有名だ。
設備としてきちんと本工事を行うデザインはサイン計画に基づいて長く親しまれるものだが、工事が終わって施設が完成したら撤去される運命の仮設サインの命は短い。
紙や薄い樹脂板などの簡素な材料にプリントされ、無骨なテープでとめられ、雨風やホコリにさらされて、その役目を終えたら消えゆく。そんな彼らを私は「愛しい仮設サインたち」と呼んで、日々移動の合間にスマートフォンやデジタルカメラで記録を続けている。
きちんと体系的に整備されて完成したデザインシステムだけでは、このカオスに満ちた都市(とくに渋谷や新宿などの大規模ターミナルステーション)では機能しないのだ。ニッポンのおもてなしは現場の膨大な労力と努力によって支えられている面がとても大きい、とアメリカ育ちの友人はしばしば口にしている。
誰もアーカイブしないのなら私が詳細にアーカイブしてもいいかな、との思いをこめて写真をセレクトした。現場で汗にまみれ、雨に打たれ、寒さに耐えて仮設サインを更新する方々へのオマージュとして今回の連載を捧げる。
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