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AirPod Proでも話題の「アクティブ・ノイズキャンセリング」、効き過ぎるとストレスに その仕組みと製品を選ぶ時の注意点

» 2019年12月22日 08時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 アップルの新しい完全ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro」のヒットで注目された「アクティブ・ノイズキャンセリング」機能。その仕組みと対応するイヤフォンを選ぶ際の注意点をまとめました。

 アクティブ・ノイズキャンセリング(以下:ANC)とは、イヤフォンやヘッドフォンの遮音性能を高めるため、外部の音(ノイズ)が聞こえないようにする技術です。耳との間にすき間ができないよう、形状や素材を工夫したイヤーパッドなどを使って遮音することをパッシブ(受動的)なノイズキャンセリングといいますが、それだけでは除去し切れない外音を、信号処理技術を使って積極的に消すのがアクティブ(能動的)ノイズキャンセリングです。

 屋外で音楽を聞く時、周囲の環境音が漏れ聞こえてくるせいで、気がつかないままボリュームを上げていたことはなかったでしょうか? ノイズキャンセリング性能に秀でた機器であれば、大音量の音楽が耳に与えるダメージも抑えられ、難聴のリスク回避にもつながります。

 その技術は、周囲の音を本体に内蔵したマイクで継続的に拾いながら、ノイズ(騒音)だけに逆相の音をぶつけて消すという手法が一般的。この時、ノイズをより強力に、かつ自然に消せる演算処理技術を各メーカーが競い合っています。

AirPods Proは、本体の外側と内側に向けてそれぞれマイクを配置するハイブリット型のノイズキャンセリング機能で周辺環境の音をピックアップし、ノイズ成分だけを消す技術です

 ANC機能を搭載する主なポータブルオーディオ機器にはヘッドフォンとイヤフォンがあります。中でもワイヤレスイヤフォンが今の注目製品ジャンル。ちょっと前はネックバンドスタイル(首の後ろで左右がつながっている)が主流でしたが、アップルのAirPods Pro登場により、左右独立型の完全ワイヤレスイヤフォンにもANC機能が広がっています。

 店頭やイベントのデモ機を使って各製品のANC機能を比べる際には「2つのポイント」に注目してみてください。

 一つは、ANC機能による消音効果は強ければ強いほど良いわけではないということです。あまりにも強力に消音されてしまうと音楽再生とのバランスが崩れ、リスニングが長時間に及ぶと不快感による疲労が蓄積してくるものです。AirPods ProのANC機能の効果は、耳の中を押さえつけられるような内圧による不快感がとても少ないため、長時間の音楽リスニングにも向いていることが特徴です。

iPhoneにAirPods Proを接続して、BluetoothメニューからAirPods Proの設定を開いたところ。ノイズコントロールとして、ANCと外部音取り込みのスイッチ、あるいは両方をオフにする選択項目を設けています

 二つめは、やはりANC機能と合わせて、本体に搭載するマイクで外の環境音を取り込める機能がほしいところ。AirPods Proでは「外部音取り込み」と名付けられている機能で、ANCと排他的に切り替え、使い分けられるようになっています。この機能の役割については次回、詳しく解説しますが、屋外で安全に音楽を聞くためには欠かせないものになりつつあると筆者は考えています。

 ANC機能を搭載するヘッドフォンやイヤフォンの中には消音効果のレベルを変更できる製品もあります。ユーザーがマニュアルで操作するか、周囲の環境に合わせて機器が自動的に行うというパターンがあります。

iPhoneのコントロールセンターからもノイズコントロールの選択メニューに素速くアクセスできます

 AirPods Proの場合、周囲の環境ノイズを検知しながらANC機能の効果を自動的に調節しています。ユーザーはオンとオフの操作以外は気にする必要がないため、操作感はとてもシンプルです。

 そして最後にもう一つ、最近はハンズフリー通話の声をクリアに拾うためのノイズキャンセリング技術を搭載するワイヤレスイヤフォンが増えています。製品の特徴やスペックに「ノイズキャンセリング機能」と書かれている場合もありますが、こちらは音楽再生の遮音性を高めるためのANC機能とは別物なので注意してください。

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