コンテナ型仮想化のブームの火付け役となったDocker社にもこの2年のあいだに大きな変化がありました。
2018年4月、Docker社の創業者としてCEOを務め、その後CTOの肩書へ移ったSolomon Hykes氏が退職します。
同社はDockerの成功によって第二のVMwareを目指してエンタープライズ市場での飛躍を模索していました。その会社の方向性と合わなかったのでしょう。
しかし同社のエンタープライズ市場における飛躍はかなわず、2019年11月にはエンタープライズ向けに展開していたDocker Enterprise製品群をMirantis社へ売却。今後はデベロッパー向けのツールとビジネスにフォーカスすることを明らかにしました。
同社はコンテナランタイムにおいてはDockerという強力な製品とブランドを持っていました。しかしKubernetesを基盤としたエンタープライズ向けのソリューションでは、同社がKubernetes対抗のオーケストレーションツールであるSwarmを推していたことなどがあだとなり、残念ながら市場での強さを発揮することができなかったのだと思われます。
Dockerコンテナ時代の第二章では、事実上の標準となったKubernetesを基盤としたさまざまなソリューションやエコシステムの発展が目に見えるようになってきた時代だといえるでしょう。
これはまだ始まったばかりであり、今後さらに多数の製品やサービスがこの市場に登場することは間違いありません。
特にサーバレスコンピューティングやマルチクラウドの分野で、Kubernetesを基盤としたさらに完成度の高いソリューションがどのように登場してくるのか、非常に楽しみなところです。
Linuxディストリビューションやクラウドサービスなどを振り返れば分かる通り、注目分野の黎明期には多くのベンダーが参入し、多数の製品やソリューションが登場します。Kubernetesを基盤としたソリューションの市場では、いままさにそれが起きているといえます。
一方で時間の経過と共に、そうしたソリューションの多くが市場から脱落していき、生き残った数社によって市場のマジョリティーが構成されてきたことも目にしてきました。クラウド市場における上位ベンダーによる寡占化の進行は、そうした例の1つでしょう。
Dockerコンテナ時代における第三章、第四章では、そうした発展と収束に至る風景が見られることになるのではないでしょうか。
また数年後に、Publickeyの記事でそうした動きを紹介したいと思います。
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