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» 2020年01月09日 15時51分 公開

IBM、昨年比で性能2倍の量子コンピュータ「Raleigh」発表 2030年までの実用化に一歩前進

米IBMは、量子コンピュータ「Raleigh」(ローリー)を発表した。量子コンピュータの性能指標「量子体積」で、2019年に発表したマシンの2倍の性能に達したという。

[井上輝一,ITmedia]

 米IBMは1月8日(現地時間)、量子コンピュータ「Raleigh」(ローリー)を発表した。同社が量子コンピュータの性能指標に掲げている「量子体積」(QV)で、2019年に発表したマシンの2倍の性能に達したという。

IBMが描く量子コンピュータのロードマップ 「Raleigh」がQV32を達成し、2020年の目標をクリアした

 ローリーは28量子ビットのシステム。2019年に発表した、1量子ビットのコヒーレンス時間(量子性を保って計算できる時間)を延ばす技術をローリーに適用したところ、量子ビット数の他にエラー率やコヒーレンス時間などを総合的に考慮した量子体積という指標で、同社のマシンとしては最大の32を達成したとしている。

 同社は19年9月に、それよりも量子ビット数の多い53量子ビットのシステム「Rochester」(ロチェスター)を発表したが、ゲート操作のエラー率の分布が10%程度まであり、量子体積は公開していない。同年1月8日(ちょうど1年前)に発表した量子コンピューティングプラットフォーム「IBM Q System One」のQVは16だった(当時20量子ビット)。

IBMが開発する各量子コンピュータシステムのCNOTゲートのエラー率の分布 下の新しいシステムほどエラー分布が小さく抑えられている。各システム名は都市名から来ており、デバイスの開発段階には鳥の名前(図中のシステムは“ペンギン”ファミリー)を名付けている
19年9月に発表した53量子ビットの「Rochester」 量子ビット数は多いがエラー分布が広い。ローリーはロチェスターと同じ、量子ビットの格子構造を採用したという
システムごとの品質因子と累積確率のグラフ QVが大きいほど、累積確率が1になるときの品質因子の値が大きい

 IBMは量子コンピュータの性能を年々2倍に増やしていくロードマップを描いており、17年のQV4から、18年のQV8、19年にはQV16を達成。今回も目標をクリアした。今後もロードマップ通りに開発が進めば、2030年までに量子コンピュータの実用化が見込めると同社は考えている。

 同社は20年中に東京大学と連携して日本に量子コンピュータを設置すると、19年12月に発表している。

 IBMの量子コンピュータは量子ビットに超電導回路を採用しており、19年10月に「量子超越性」を実証したと発表した米Googleの量子コンピュータと同様の方式。従来のマシンが解くのに1万年かかる問題をGoogleの量子コンピュータは3分20秒で解けたとするGoogleの主張に対し、IBMは従来のマシンでも約2.5日で解けると反論していた。

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