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「大手と同じことをやっても勝てない」 サイバーエージェント傘下のプロレス団体社長に学ぶ、ベンチャーの戦い方マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(3/4 ページ)

» 2020年02月17日 07時00分 公開

高木:プロレスの場合は、選手やマッチメイク(対戦カードのこと)が商品ということになりますが、今、何が旬になっているかの見極めが大事だと思います。以前ならmixi、今ならTwitterなどを使って、試合の反応を見たり、面白そうな人や話題を探したりします。

 選手のキャラ付けや個性は、かなり意識していますね。ただ、こちらのイメージを選手に伝えても選手がその通りに動けないこともありますし、キャラを変えたら必ずうまくいくわけではありません。何が正解かどうか分からない中で、手数を多くすることでカバーしているんです。「何か違うな」と思ったらすぐにキャラの方向性を軌道修正しますし、選手自身が疲弊したり悩みすぎたりしないよう、フォローすることも重要です。

 僕は「マンネリ」という言葉が嫌いで、常に趣向を変えなければと思っています。それはキャラクターやコスチュームに限りませんし、試合をするシチュエーションを変えた路上プロレスもその一種です。普通のリングではなく、本屋でプロレスをすればそれだけでマンネリを打破できますから。

マスクド:DDTは路上プロレスだけでなく、凶器が次々投入される「ウェポンランブル」、蛍光灯を割ったほうが負けになる「蛍光灯IPPONデスマッチ」、お笑い芸人の山里亮太さんが登場した「肛門爆破デスマッチ」など、ユニークな試合を行ってきました。日々新しいことに取り組む中で、選手やスタッフからの反発はありませんでしたか。また、彼らとコミュニケーションをする上で、どのようなことを意識されていますか。

高木:それについては、相手が疑問を抱かないように、こちらの意思をはっきりと伝えることが重要です。レスラーは職人気質なので、納得しないと動いてくれません。難しい部分もありますが、やはり人間同士なのでコミュニケーションが大事ですね。DDTも大きな組織になりましたし、僕は今後ノアの経営にも携わるので、やはり密にコミュニケーションをとらないといけません。これは自分自身の課題でもありますね。

人脈作りにSNSを駆使 経営は「当たり前のことをやるだけ」

マスクド:経営者という立場だと、資金面で苦労することもあると思います。これまで、こうした局面をどのように乗り越えましたか。

高木:今は、クラウドファンディングやベンチャー投資など、資金調達の幅が広がりましたが、DDTの立ち上げ当初は、プロレスの会社というだけで、どの銀行も取引してくれませんでした。大学の同級生が地方銀行の支店長だったので、何とか融資してくれましたが、利子や返済で苦労しましたね。

 苦労については、「乗り越えた」というより「助けられた」ことのほうが多いです。経営が厳しい時期に突然スポンサーの申し出をいただいたり、僕が出演したテレビ番組を見た同級生(グッドコムアセットの長嶋社長)がスポンサーになってくれたりと、偶然と縁に助けられました。過去にはmixiでスポンサーを募集したこともあり、当時声をかけてくれた人とは今でもお付き合いがあります。現代はSNSを通して人脈が構築できるので、その点はありがたいですね。

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