ただし、日本の一般消費者の多くは中国語を読めず、読める人もホワイトリストとブラックリストをサイトから見つけ出すのは難しい。筆者ですら、中国政府が指定するリストをネット上から見つける作業にはものすごく苦労した。日本の消費者が、マスクの製造元を確認し、リストと逐一突き合わせて安全性を確かめるのは現実的ではなく、自己防衛のための活用はできないだろう。
そこで、マスクを中国から買う必要がある時に、確実に当たりのマスクを買う方法をお伝えしよう。中国向けのECサイトには、中国の基準を満たしたまともな品質の商品が流れている。Alibabaいわく、法人向けECプラットフォームの「Alibaba.com」には、国外でも粗悪品の販売を防ぐシステムが働いている。またAlipayには、在外華人(国外に移住している中国人)向けに、Alibabaの個人輸入サイト「AliExpress」の商品ページにアクセスできる機能があり、ユーザーはそこで中国産の品質保証のマスクを買うことができる。日本人はAlipayユーザーと協力すれば、届くまで時間はかかるが、確実に品質基準に達したマスクを買えるだろう。
話を戻すと、中国の企業や政府は、ECサイトのフィルタリング、マスクの信用性を担保するブロックチェーン、一部経営者の横暴を防ぐための信用スコア――といった最新のテクノロジーを駆使し、中国国内での粗悪品マスクの流通阻止において一定の成功を収めた。
しかし、企業だけでなく一般層までが“家庭内手工業”によるマスクの製造・輸出に手を出し始めた結果、こうした最新テクノロジーの網に引っ掛からず、中国国外にダメマスクが届いている現実があるのは確かだ。こういった事情は、あまりよろしくはないが興味深い。ダメマスクが日本でも出回っている背景には、国内に出回るモノは厳しくチェックする一方、国外に輸出する商品のチェックはどうしても甘くなってしまう、中国の体質があるのだろう。
いまや違法薬物に近い扱い? 転売禁止のマスク、取引の舞台はダークウェブへ
「身に覚えのないマスクが届いた」 消費者庁が送り付け商法に注意喚起 政府の布マスク全戸配布に便乗か
マスクおとりに集客か 消費者庁がドラッグストアなど2社に指導
台湾の天才IT大臣、医療用マスクを家庭で消毒する方法を日本向けに紹介
ホッチキス替え芯(1万円)──マスク高額転売禁止をすり抜ける悪質“替え玉出品”が続出Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR