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» 2020年11月13日 16時00分 公開

半沢直樹は東京中央銀行にAIを導入できるか? 技術導入の責任論を考える (1/5)

スマホなどを使う描写もありつつ、昭和的な仕事スタイルだった半沢直樹。もし半沢直樹が銀行にAIを導入していたらどうなった? 銀行の経営はAIに任せられる? マスクド・アナライズが解説します。

[マスクド・アナライズ,ITmedia]

 テレビドラマ「半沢直樹」が大人気となり、私も一視聴者として楽しませていただきました。

 その一方で気になったのが、仕事の進め方がやたらとアナログな点です。銀行というお堅い業界とはいえ、書類はファイリングしてからダンボールに詰めて倉庫に保管し、常に電話で連絡を取りながら現地に足を運んで人づてに情報を探り出すのは、汗をかいて足で稼ぐ昭和的なスタイルです(演出上の都合ですが)。

 しかしスマホやタブレットやクラウドを使いこなす描写もあり、IT企業への大型融資など時代に即した面もあります。

 そこで時代性をもっと取り入れて、半沢直樹が勤める東京中央銀行でもAIやDX(デジタル・トランスフォーメーション)、RPAなどのデジタル化を推進していたらどうなったかを考察してみます。

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーでの経験を基に、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。今後は、AI情報だけでなくIT業界全般に役立つ情報もお届けしていきます。

お問い合わせのメールは info@maskedanl.com まで。Twitter:@maskedanl

(編集:井上輝一)


トラブルがなくなり倍返しもなくなる?

 まずは大量の書類がなくなるので、会議の度に資料を印刷したり、ファイリングやダンボール詰めしたりもせず、FAXも使われません。

 連絡手段も電話ではなく、履歴や内容が残るチャットツールに置き換わり、遠隔地との打ち合わせも直接足を運ぶことはなくWeb会議で行います。つまりデータが残らない連絡手段は使われません。

 このようにAI・DX・RPAによるデジタル化が進んだ東京中央銀行では、何が起こるのでしょうか。

 ドラマでは大型融資の判断、情報漏えいの捜査、証拠の隠蔽、シュレッダーからの書類の復元、粉飾決算の発覚、資料の行き違いによるトラブル、過去の融資記録の追求、社内の生き字引への聞き込み、重要書類を収めたダンボールの捜索、不正な資金移動の発見など、銀行を舞台にしたさまざまなスリリングなやりとりがありました。

 大量の情報を分析する、不正や問題を見抜く、証拠や履歴から異常を探る、過去のデータをさかのぼる、必要な情報を発見するといった能力は、AIが得意とする分野です。つまり、AI導入が進んだ東京中央銀行ではAIがトラブルを未然に防ぐか、すぐに解決してしまうことでしょう。

 半沢直樹が倍返しすることもなく、銀行員として平穏に仕事をこなす毎日を過ごすだけで、魅力である人間ドラマも熱い駆け引きも、歌舞伎役者による顔芸もありません。

もしも半沢直樹にAIがあったら

一方、現実の銀行は

 やはり創作であるドラマに、リアリティーを求めるべきではありませんね。

 もちろんAIとて万能ではありませんし、AIベンチャーで不正経理が発覚した事例もあるので、道具として企業が使いこなせるかが重要です。

 一方で現実の銀行では、AI・DX・RPAによるデジタル化が叫ばれており、日々導入や活用が進んでいます。

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