いろいろなパーツを組み合わせて自分好みの1台を作る「自作キーボード」について紹介する本連載。前回のファームウェアの解説をもって自作キーボードを構成するハードウェアとソフトウェアの両面について概略を紹介しきったことになる。ここまで読んでいただいた読者の方は、自作キーボードの知識については脱初心者と言ってもいいだろう。
今回はいよいよ自作キーボードの実践編をお送りする。知識をしっかり仕入れた人も、これからはじめて自作キーボードを知る人も、ぜひ「自作キーボードのある生活」を想像しながら読んでみてほしい。
自作キーボード「Ergo42」作者。自作キーボードのDiscordコミュニティ「Self-Made Keyboards in Japan」管理人。
自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。
自作キーボードの専門店「遊舎工房」が2019年に秋葉原に開店して以来、20年には「マツコの知らない世界」で取り上げられるなど、「自作キーボード」という言葉を見聞きする機会は以前に比べ格段に増えた。
百聞は一見にしかずというように、自作キーボードの便利さや打鍵感などは文字で知るより実際に体験してみるのが一番。しかし、昨今のコロナ禍の影響で自作キーボードの実物に触れる機会にはなかなか恵まれないのが実情だ。
そこで今回はまず、実際に自作キーボードを使っている様子を見てみてほしい。本記事でこれからお伝えする、自作キーボードでの具体的な入力方法や、各種キーボードでの打鍵感の違いなどを約6分間の動画に詰め込んだものだ。
ここからは、動画でもお伝えしている「自作キーボードを使ううれしさ」の各側面を文章と図で紹介していく。
自作キーボードといえば、分割型で縦方向にキーがずれている「Column Staggered」(カラム・スタッガード)、もしくは縦にも横にもキーがずれていない「直交配列レイアウト」というイメージを持っている読者の方も多いのではないだろうか(以下、合わせてColumn Staggeredレイアウトと表記)。
(関連記事:自作キーボードのもう一つの沼、キー配列)
実際、分割型かつColumn Staggeredレイアウトは日本における自作キーボードキットで人気のカテゴリーだ。
こういった分割型・Column Staggeredレイアウトのキーボードはそのデザインの奇抜さが目を引くが、もちろん機能性においても利点がある。
分割型キーボードのうれしさはなんといってもその打鍵姿勢にある。一般的な一体型のキーボードは全てのキーが1カ所に集められているため、どうしても肩をすぼめたような姿勢になりやすい。分割型のメリットの一つは、肩を開いたリラックスした姿勢で打鍵できることだ。
また、分割型キーボードではその中間のスペースにトラックボールやトラックパッドなどのポインティングデバイスや液晶タブレットを置くこともでき、そういった机のレイアウトの自由度の高さも魅力の一つだ。
分割型と並び、体に配慮したとされているのがColumn Staggeredレイアウトだ。一般的なキーボードは横方向にキースイッチがずれたRow Staggered(ロー・スタッガード)レイアウトだが、Column Staggeredレイアウトは指の曲げ伸ばしに合わせて縦方向にキースイッチをずらすという自然な発想によってデザインされている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR