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Clubhouse、そしてDispo 招待制というハードルがありながら緩くつながれるアプリに人気が集まる時代(3/3 ページ)

» 2021年02月25日 12時55分 公開
[武者良太ITmedia]
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 みなさんにも覚えがないでしょうか。FacebookのUIが変わり、使いにくいと感じたことがありませんか。Facebookにとっては、より多くの情報をスムースにやりとりできるようにとのアップデートなのでしょうけど、テキストベースのコミュニケーションで満足しているユーザーにとっては余計なお世話で元に戻せといいたくなる。ほしいのは十徳ナイフではなくて、普通のハサミでいいのだと。

 ClubhouseとDispoに感じる好印象は、できることが限られているから、悩まずに操作できるというところ。誰かとしゃべりたい、もしくは誰かの話を聴きたいと感じたらClubhouseを立ち上げてタップ。自分の写真を同じ感覚のユーザーとシェアしたい、もしくは決まったテーマの最新写真集を見てみたい、と思ったらDispoを立ち上げてタップ。これだけです。ハンバーガーメニューを開いてジャンルや機能を選んで画面を戻してスクロールして……の繰り返しにはなりません。この気楽さ、ストレスの低さが、いい。

 将来的には、ClubhouseとDispoもユーザーを囲い込むべく数多の機能を搭載する可能性はあります。しかし現時点において、シンプルisベストな機能かつUIのClubhouseとDispoに、人気が集まるのは分かる気がします。

緩いつながりが生むゆるくていいコミュニケーション

 ユーザーローカルが公開している「Clubhouse 人気ランキング」を見ると、Clubhouseで人気を集めているルームには次のような特徴がありました。

  1. 芸能人や有名人が開いているルーム
  2. ビジネス書の内容を語り合っているようなルーム
  3. モノマネやロールプレイが楽しめるルーム

 1は、もともと多くのファンを持っている人だからこそ、多くの人々が肉声を聴きたいと集っています。2は、本来は有料の情報なのに無料で知り得ることができるというメリットがあります。3はお遊び目的ですが、こういうプレイに多くの人が集まるというのも日本人らしい傾向といえます。

 こういった、多くの人の耳目を集めたいという目的でClubhouseを使うとなるとなかなか大変です。普通の人がチャレンジするとなったら、まずClubhouse上でのフォロワー数を集めなくてはならず、「いま、この瞬間にルームに来てくれる貴方だけにオトクな情報をお伝えしますよ」といったタイトルで釣るような、あまりお勧めできない手段を駆使することになるかもしれません。

 しかし友人と気楽に会話を楽しむ、それこそテレワーク中の雑談目的で使うという目的には適しているアプリだと感じます。音声のみのコミュニケーションですから、ZoomやMicrosoft Teamsのように参加者に監視されているような感覚は一切ありません。ルームを立ち上げておけば、誰かがおしゃべりしたいと思ったときだけ「こんにちわ」と入ってきて「またね」と去っていく、待ち受けがしやすい仕組みでもあります。これがファイルの共有やテキストの同時編集といった機能があったら、ビジネスライクに使わなければならないのかという圧迫感が生まれかねないのです。

 Dispoも、朝9時にならなければそれまで撮影した写真が見えないし、本格的な一眼カメラで撮ったような美麗すぎる写真でなくてもいいという、時間にもクオリティーにもとらわれないですむというゆるさがあります。フォロワー数を競うようなUIになっていないため、変なマウンティングが発生しにくい部分にも注目したいところ。純粋に、日々のスナップが好きな人たちが集う場となっています。

photo 日々のスナップ好きが集う

 肩の力を抜いてコミュニケーションを楽しもうよ。自分の話や写真をやたらと推すのではなく、フラットな目線で他の人のコンテンツも楽しもうよ、というメッセージがあるのでは。ClubhouseとDispoから、そういうメッセージを感じるのです。

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