GFX100SはGFX100に比べて500g軽くなり、30%小さくなった。手にした感じは「ハイエンドのフルサイズ一眼レフ」くらいの重量感だ。
例えば代表的なフルサイズ一眼レフの「EOS 5D MarkIV」の質量が約890g(バッテリーと記録メディア含む)で、GFX100Sの質量が約900g(バッテリーと記録メディア含む)なのだからほとんど変わらない。そのくらいのサイズ感と思っていい。
ただマウントとセンサーが大きい分レンズが太くて重くなるため、手が小さいとレンズ交換が大変かなとは思う。
操作系は一新。撮影モードダイヤルで撮影モードを変更するというポピュラーな体系になった。
前後のダイヤルはクリック式になっており、前電子ダイヤルはクリックするたびに機能を変えられ、後ろ電子ダイヤルはクリックすると拡大表示になり、よりフォーカスを追い込める。
右方のサブパネルはGFX100を継承して、大きくて見やすい。
背面は非常にシンプルで、十字キーはなく代わりにフォーカススティックを使うという富士フイルムらしい構成だが、このフォーカススティックが以前よりぐっと使いやすくなった。指が当たる部分の面積が広くなり、指を当てて自然に動かせる。これはすばらしい改善だ。
背面モニターは3.2型で約236万ドットでタッチパネル付で3方向チルト式。横位置でも縦位置でもチルトする。これはよい。
ハイアングルやローアングルでの撮影にもさっと対応できる。
ファインダーはデカい。0.5型のOLEDパネルで約369万ドット。ファインダー倍率も高くて大きくて見やすいが、メガネをかけていると端まで目が届かないことがある。そういうときはファインダー表示を一回り小さくすることができる。これはありがたいことだ。
撮影自体は驚くほど快適だった。ラージフォーマットのカメラとは思えないサクサク感で使えるし、取り回しやすい。しかも手ブレ補正の効きもしっかりしている。さすがに連写速度は最高で秒5コマ(メカシャッター時)であるが、一瞬を捉える速さを追求するカメラではないので問題なかろう。
使っていて気になったのは、バッテリーの持ちくらい。
バッテリーは「X-T4」と同じものを採用。撮影可能枚数は約460枚(CIPA規格)だが、これはEVFの駆動をノーマルモードにした場合で、快適に使うには「ブースト」にしたい(例えばEVFをフレームレート優先のブーストモードにすると撮影は快適になるがバッテリ消費は大きくなる)。
その点はUSB Type-C端子を使った本体内充電が可能で、給電しながらの撮影もできるので運用でカバーしたい。
メディアはSDXCカードのデュアルスロットだ。
つまるところ、予想以上に扱いやすくて機動力もあり、安定して高性能を発揮してくれるカメラだった。このクラスのカメラがこれだけ気軽に使えていいのかと思うくらい。
スタジオでも屋外でも自在に使える汎用性が秀逸で、35mm判換算フルサイズを超えるラージフォーマットならではの写真をこの価格と機動力で得られるのはすごい。
だから画質最優先で考えるなら真っ先に候補にしたい。レンズも含めて考えるとそれなりの金額になってしまうけれども、それに見合うだけの画質だ。でもって、個人的にもこれは欲しいと思ってしまったのだった。
(モデル:長谷川実紗)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR