この年、世界初のミラーレス一眼が登場し、ニコンも追従する。
2011年の「Nikon 1」である。
これは画期的なミラーレス一眼だった。センサーこそ1型と小さかったが、像面位相差AFを搭載し、なおかつ読み出し速度が速いセンサーで、電子シャッターで撮ってもほとんど歪みはでないし、電子シャッターと高速AFを組み合わせた超高速連写はちゃんとAF追従してくれたしで、これぞミラーレス一眼の未来、と思わせてくれたのだ。このAFと連写は時代を先取りしたといっていい。
このときにレンズマウントを「ニコン1マウント」と名づけてたので、ソニーが広告で「1 mount」(APS-Cもフルサイズも同じマウントですよって意味だ)とうたうたびに、Nikon 1を知る人はそれを思い出すのだった。
それはともかく、エントリー向けのJシリーズはJ5まで、ハイエンドのVシリーズはV3までで終了。
1型センサーでデジタル一眼として戦っていくのは難しかったと思うし、その後1型センサーを使ったコンパクトデジカメが誕生してそれらが「F1.8〜2.8」なんて明るいズームレンズを搭載すると、標準ズームがF3.5-5.6のNikon 1はスペック比較で辛かったりしたんだろうが、その考え方や実装が先進的すぎただけに残念である。
そして2018年、フルサイズセンサー搭載の主力を張れるミラーレス一眼として「Z 6/Z 7」が誕生したのである。
2021年3月10日にはニコンが新たなフラッグシップモデル「Z 9」の開発発表を行った。
詳細は不明だが、縦位置グリップを一体化し、8K動画に対応し、最終的にDヒトケタのフラッグシップ機を置き換えるミラーレス一眼として2021年内に登場すると思われる。そのデザインから、スポーツや報道のプロに向けたカメラとして、D5やD6のリプレースをめざし、Zシリーズもエントリー向けのZ 5からフラッグシップのZ 9まで揃うわけである。
まあそんなわけで、ニコンがデジタル一眼レフの生産をすべてタイ工場で行う予定というニュースから、ずっとニコンの一眼レフを使っていた身として(過去形ですみません)、ニコンのデジタル一眼の歴史を追ってみた。
ミラーレス一眼の時代もキヤノン、ソニーと切磋琢磨して新しい時代を切り開くカメラを作っていくと思う。
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