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東京で走り出した電動キックボードシェア「Luup」 思い知った最高時速15kmの現実(3/3 ページ)

» 2021年05月14日 11時03分 公開
[武者良太ITmedia]
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最高時速15kmは遅く感じる

 走り出すには、自分の足で地面を蹴ってからアクセルレバーを押し込む必要がある。停止状態から電力のみで発進ができる車両は瞬間的ではあるが前輪が浮きやすく、慣れないと危険なところがあるので、シェアリングの車両としてはこの方式のほうが適切とみた。

 乗り始めた瞬間に分かるのが安定性の高さ。電動キックスクーターは小径ホイールゆえに路面の状態の影響を受けやすい乗り物だが、それにしてもLuupの電動キックスクーターは直進安定性に優れている。フロントフォークに備わったショックアブゾーバーが、きちんと仕事をしてくれているのだと分かる。

 ハンドルの剛性の高さからくる安心感にもホッとする。

photo ハンドルの剛性は高い

 いわゆるコンシューマー向けの電動キックスクーターは、コンパクトに収納できるようにハンドルが折りたたみかつ伸縮構造となっている車両が多い。その構造上ハンドルがガタつきやすい。しかしLuupの電動キックスクーターは業務用として開発されたもので、折りたたみ機構がない半面、ガチッとした高剛性なハンドリングとなっている。

 車線変更時にも、車体の姿勢をダイレクトにコントロールができるという自信につながる。

 ステップは細く、前後方向に長いもの。前後の重心移動がしやすく、これもシェアリング用車両として適切な構造だと感じる。

photo ステップに足を乗せている様子

 ただし、最高時速15kmという制限速度はなかなかに厳しいものがあった。

 渋谷の道玄坂は登りきるまで3分20秒ほどで最高時速のまま走ることができたが、渋谷マークシティ脇の急勾配な坂ではそうはいかず、早足くらいのスピードしか出せず、後ろにひっくり返りそうな不安感もあった。

 交通量の多い道路の走行も厳しい。国道246号線や環状7号線、甲州街道などは電動キックボードでは走行しないようにとアプリ側で注意を促してくるが、骨董通りのような路上駐車車両の多い道も、左折目的で路肩側に寄って走る車両も多い道路でも、自転車よりも巡航速度の遅い車両で走行すると、強いストレスを感じてくる。

 複数車線の道路でも二段階右折ではなく、小回り右折が義務付けられているのもつらいところだ。加速力に乏しい車両で右側の車線に移動するというのは困難際まる。押して歩くなら歩行者と同じ扱いになるので、大きな交差点では車両から降りて、歩道の信号に合わせて動きたいものだ。

 半面、交通量が少ない道路の移動は快適そのもの。バイクよりも、自転車よりも開放感があり、自然と気分も高揚してくる。明治神宮外苑など平坦で見晴らしのいい場所では、2台のLuupに乗って観光を楽しんでいたカップルもいた。シェアリング型の電動キックスクーターは交通量の少ない場所での観光ツールとして高く評価されるのではと感じた。

photo 新たな観光ツールとなるか
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