デジタル庁の事務方トップである「デジタル監」に、実業家の伊藤穣一氏を起用する方向で政府が調整に入ったと、テレビ朝日などが8月5日に報じた。伊藤氏は過去に米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務めるなどの実績を持つが、性的虐待疑惑のあった米富豪のジェフリー・エプスタイン氏からの資金提供を巡り、所長などを2019年に辞任している。
伊藤氏は、インターネット関連のサービス開発や投資を手掛けるデジタルガレージなどを設立した実業家。現在も同社の取締役を務める。インターネット運用管理の国際団体ICANNや米Mozilla Foundationの理事、Creative Commonsの会長などを歴任。2011年にMITメディアラボの所長に就任した。
しかし、MITメディアラボと自身の投資ファンドが、エプスタイン氏から資金提供を受けていたことが発覚。エプスタイン氏は、未成年者への性的虐待疑惑で起訴されていたが、2019年に獄中で自殺。伊藤氏は、2013年からエプスタイン氏と交流があったことが報じられ、19年8月に謝罪文を発表した。
犯罪行為との関わりについては否定し、当初は辞任の意向を見せなかったものの、伊藤氏がエプスタイン氏からの寄付を匿名化しようとした証拠を米New Yorkerが暴露した後に所長職を辞任した。
今回の報道を受け「エプスタイン氏との件があるのに起用するのはイメージが悪い」「起用の理由や一連のスキャンダルをしっかりと説明してほしい」など、ネット上で波紋が広がっている。
デジタル庁の発足時の人員は500人規模で、そのうち100人程度の人材を民間から起用する方針。共同通信の報道によると、平井卓也デジタル改革担当相は「デジタル監も民間企業から採用する」と表明しており、「意中の人はいる」と6月23日に発言していたという。
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