最新の実験では、コオロギパウダーと米粉を混ぜた造形にも挑戦している。コオロギパウダーと米粉の総量を30gとし、それぞれ1:2、2:1、3:0の比率(重量)で混ぜたものに精製水を60g加え、10分間混ぜたものを材料とした。最後の30:0は、コオロギパウダーのみの造形を試みる配合だ。今回はスクリュー式3Dフードプリンタ「NP-2500」を用いた。
結果は、コオロギパウダー10gと米粉20gの配合による材料の造形が一番精度がよかった。その一方で、コオロギパウダー30gのみの材料では粘度が低く、ノズル先端で生地がしたたり落ちる状態になり造形には至らなかった。コオロギパウダーのみの造形は難しいと考えられる。今回の実験では造形後の加熱は行っていない。
さらに2種類の造形物を織り交ぜる、二色造形の実験も行った。米粉30gと精製水60gだけの材料で印刷した造形物と、先ほどの実験結果で良好な結果が得られたコオロギパウダー10gと米粉20gの配合による材料で印刷した造形物を、別々のノズルで出力し造形した。
米粉の透明な造形物とコオロギパウダーの茶色の造形物とが交互に積層される。積層中、徐々にノズルと造形物の距離が離れてしまい、離れてしまった影響で生地があまり定着せずに隙間が空いてしまったが、おおむね良好な結果が得られた。
3Dプリンタの技術開発が進めば、昆虫食の外観や食感をコントロールすることによって、昆虫食の忌避感の改善が期待される。代替肉の開発においても3Dプリンタの活用が話題になっており、二色造形の技術や昆虫パウダーを始めとするさまざまな粉末の活用により、栄養価を高めつつ、本物の食感や外形に近い代替肉の開発が期待できるだろう。
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