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iPhone、Apple Watch、そのライバル製品はどうなる? 2021年秋以降のITガジェットを予測する(3/4 ページ)

» 2021年08月31日 08時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

リニューアル期待のApple Watchと新生Wear OSとの戦いに注目

 スマートウォッチについては、今回は特に面白くなるかもしれない。SamsungとGoogleのタッグによって生まれ変わった「Wear OS」を搭載したデバイスが出て来るからだ。

 「Galaxy Watch4」はかなり意欲的な製品になっており、機能的にもバッテリー動作時間的にも、現行の「Apple Watch」との差別化点が多くなっている。日本ではスマートフォン以外のGalaxyブランドはあまり元気がないのだが、少なくともスペックや機能を見る限り、Galaxy Watch4は十分にヒットを狙える要素を持っている。あとはSamsungが「どれくらい日本でも攻めるか」だろう。

photo Galaxy Watch4

 現状、スマートウォッチ市場ではAppleが圧倒的なシェアを持っている。市場全体の4割弱がApple Watchであり、高付加価値型では他社を寄せ付けていない。派手にアピールされた後に幻滅期が来た市場の中でも製品を出し続け、フィットネスを軸とした新市場を確保する「我慢の経営」による成功といってもいいだろう。シェアにおけるApple一強時代は、市場の慣性もあって急には変わらないだろう。

 ちなみに、これはスマートウォッチだけでなく、タブレットでも同様のことがいえる。Appleの強みは、「iPhoneというドル箱」を確保した上で、いけると思った市場から手を引かずに継続して、結果的に勝ちうるところまで持続する点である。ただし、その市場への参入が大幅に出遅れた場合にはこの「勝利の方程式」が描けない。スマートスピーカーやスマートホームがその状態にある。

 Apple Watchについては、いくつかうわさもあるが、2021年にはデザインなどの大きなリニューアルがある可能性が高い。前回デザインを変えたのは2018年に発売された「Apple Watch Series 4」だった。時期だけを見ても「そろそろ来ていい」タイミングだ。Series 4のときはディスプレイサイズの変更が軸でデザインモチーフは変えなかった。今回はどうなるだろうか。

 どのような機能が載るかは分からないし、実際のデザインがどうなるかも不明だ。だが、AppleがこれまでApple Watchを大きく変えるときには「ディスプレイ」を変えてきた流れがある。

 スマートウォッチの消費電力を下げるには、バッテリー消費量が大きいディスプレイを変えるのが近道だからだ。あとは、センサーとして何を追加するのか、だろうか。Series 4で大きなリニューアル時には心拍センサーが大きく変わった。今回リニューアルをするなら、新しい「体の状況を測るためのセンサーを追加する」と考えるのが妥当だ。

 これは筆者の予測だが、AppleはApple Watchでも、バッテリー動作時間を劇的に伸ばすより、「機能を上げつつ動作時間はいくらか伸びる」パターンを選ぶだろう。使うプロセッサやOSが今までの延長線上にあるだろうから、いきなり数倍にはなりづらいからだ。

 そういう意味で、OSまで変えて動作時間などを差別化要因とする新生Wear OSと、エコシステムを差別化要因とするApple Watch……という図式になりそうな予感がしている。

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