効率化やクオリティーの均一化以外にも効果があった。スマホやタブレットで利用でき、作成に必要な時間が少ないことから、屋外活動中であっても欲しいチラシをすぐ作れる点が営業に活用しやすいという。
「オープンハウスは、駅前など屋外での販売活動を強みとしている。こういった活動中、『この物件のチラシが欲しい』と思ったときに店舗の人員にデータを送り、印刷して持ってきてもらうことで、顧客に適した物件を都度紹介できる」(斎藤さん)
一方で、現場から指摘されている改善点もあるという。一つはレイアウトなどのバリエーションだ。「飽きさせないことが重要なので、もう少し別のテンプレートが欲しいと聞いている」(山野さん)という。
もう一つは社内システムからデータを持ってきている都合上、最新の情報を基にチラシを作れない場合がある点だ。
「物件価格の販売価格などは結構ころころ変わる。それがシステムに反映されていないと、最新の情報を拾ってこれない。この辺りは社内データベースにデータが入力され切れていない点が問題なので、そこから改善する必要がある」(山野さん)
「大体は対応できているが、かゆいところに手が届かないこともある」と斎藤さん。ただし他のプロジェクトと比べ、運用自体は順調なため「どうしても他を優先しなくてはいけないが、どこかのタイミングで対応していきたい」(山野さん)という。
AIとRPAの活用で業務効率化を実現したオープンハウス。山野さんによれば、他の分野でもAIを使った業務改善を進めているという。
「まだ実運用には至っていないが、土地の区割りにAIを活用する試みや、顧客に提供する設計図面をAIで自動作成する試みを進めている。実用化されているものでは、家を作るときに似た間取りのデータを持ってくることで、(建築の)参考にできるようにするシステムが20年から稼働している」(山野さん)
これらの取り組みも含め、オープンハウスでは今後もAIの活用を進めていく方針だ。ただし効率化に当たって、AIの活用だけにこだわっているわけではないという。
「AIだけに絞るつもりは全くない。AIが作ったものを結局人が確認するのであれば意味がない。最終的に人が確認するというフローでも効率化になるのであれば良いが、(AIの)品質次第で簡単ではない。AIによる効果が投資を上回るのであれば、手段の一つとして使っていく」(山野さん)
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