「iPhoneにタイヤをつけたようなクルマ」と表現されるTesla。IT・ビジネス分野のライターである山崎潤一郎が、主にデジタルガジェットとして、ときにはファミリーカーとしての視点で、この未来からやってきたクルマを連載形式でお送りします。
9月の中旬、「Tesla Model 3」が筆者のもとにやってきました。驚いたのは、納車スタイルです。指定された日時に、「テスラ ラゾーナ川崎プラザ」に出向き、受け付けとサインを済ませると、車検証など書類一式とカード型のキーを渡されます。スタッフが関わるのはそこまでで、時間にして5分程度です。
後は駐車場に1人で移動し、自分のクルマを見つけ、内外装をチェックします。問題がなければ、そのまま帰宅します。なんとドライで合理的な納車なのでしょうか。Teslaでは、「タッチレスデリバリー」という呼び方をしています。コロナ禍における感染拡大予防措置として取り入れられたと聞いています。
以前乗っていたシトロエンのときは、営業担当者が、シャンパンの「モエ・エ・シャンドン」をプレゼントしてくれたり、メルセデス・ベンツのときは、店舗で撮影した愛車の写真をフォトフレームに入れて渡してくれるなど、いわゆる「納車の儀」的な演出が施されていたのとは大きな違いです。当時とは状況が異なるので比較するのも変なのですが……
連載第1回目でもTesla独自の考え方による、UX(顧客体験)を紹介しましたが、タッチレスデリバリーを経験したり、先輩Teslaオーナーの情報に接したりて感じるのは、日本車ディーラー並の「おもてなし精神に富んだ手厚いサポート」を期待するとがっかりするという点です。
例えば、我が家には家族が使う三菱自動車工業の「i」(アイ)という軽自動車がありますが、点検や車検のたびに、営業担当者が自宅での引き取り返却を行ってくれます。一括メンテナンスプログラムに加入しているのでその一環なのでしょうが、Teslaにはこの種のプログラムや手厚い対応は期待できません。
それどころか、定期点検や車検のお知らせすら来ないといいます。修理を含め、全ては自己責任で、時期が来たらアプリ経由で予約を取ってサービス拠点に持ち込む必要があります。修理内容によっては、移動修理車による対応も可能のようですが、さすがに定期点検や車検には対応していません。
そもそもサービス拠点自体が都市部にしかないので、遠方の先輩Teslaオーナーは大変苦労しているのではないでしょうか。アフターケアの点からも、Teslaが万人にお勧めできるクルマでないことは確かです。それを踏まえたうえで、本連載をお楽しみいだければ幸いです。
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