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» 2021年11月05日 08時00分 公開

匠の技をデジタルで再現する新しい「日本のものづくり」 日産の最新インテリジェント工場がすごいことになっていた(2/8 ページ)

[西川善司,ITmedia]

パワートレイン一括搭載システム「SUMO」

 自動車の組み立て工程において、多様な車種を1つの製造ラインでまかなう、いわゆる混流生産は難易度の高いものとされてきた。最近では、ひとくちに“自動車”とはいってもメカニズムや構造が多様化している。例えばパワーユニットについてはガソリンエンジンと電動モーターの2種類があるし、駆動方式についても前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動があるし、パワートレインはそうした駆動方式によって変わり、ハイブリッドシステムが加わってくればバリエーションの度合いは劇的に増加する。また、ここにボディー幅の大小、そして前輪と後輪との間の距離であるホイールベースの長短が加わればさらにバリエーションは増加する。

 NIFでは、任意のサイズのフロント、センター、リアの各アンダーフロアシャシーに対し、ガソリンエンジンとそれを含むパワートレイン、ガソリンエンジンで発電し電動モーターで車両を動かす「e-Power」システム、ピュアなEV(電気自動車)用電動モーターシステムの3種類を組み付けることができる搭載システムを新規開発して導入した。このシステムにはSimultaneous Underfloor Mounting Operationの頭文字を取って「SUMO」(スモウ)という名前が付けられている。

photo これまでこの工程は人の手で行われていた。工員への作業負荷も高い工程であり、人力のみで組み付け部位の複数バリエーションに対応することは困難であったという。SUMOではこれを全て自動化し、さらに作業精度も一段高いレベルへと引き上げる

 また、ロボットアーム等を利用した各部位の組み付けに際しては、その位置合わせをリアルタイム計測して±0.05mmの公差の精度で行うことができるとしている。自動車の製造では、フレーム側に組み付けられた複数のボルトと、そのボルト位置に対応するように穴の開けられたパネルに組み付ける工程が多数あるが、その際の穴通しがスムーズに行えるよう、穴側にある程度の余裕(公差)が設けられているのが普通だ。この公差をSUMOシステムでは±0.05mmにまで抑え込みつつ、高速に組み付けることを可能とし、さらに、シャシーの前・中央・後のサイズバリエーション、パワートレインの種類バリエーションにも柔軟に対応することができる。これはかなり先進的な技術だといえよう。

 なお、このSUMOシステムの第1バージョンが、早速新車種アリアの製造に用いられることが決定しており、その4種類あるアリアのパワートレインの組み付けにおいてもこのSUMOシステムが単機で対応できるという。そして、将来的には、さらに複雑なバリエーションの混流生産の実現にも対応させる計画となっている。

SUMOシステムが稼働している様子。映像中の車両はテスト生産中のアリアである

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