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» 2021年11月05日 08時00分 公開

匠の技をデジタルで再現する新しい「日本のものづくり」 日産の最新インテリジェント工場がすごいことになっていた(5/8 ページ)

[西川善司,ITmedia]

ボディー&バンパー一体塗装と塗装外観自動検査

 これまで、ボディーの塗装工程においては、鉄やアルミなどの金属材質主体のボディー側への塗装と、樹脂材質主体のバンパーなどへの塗装は別々の工程として行われていた。結論から先に言うと、NIFが採用した最新の塗装工程は、この異なる材質のボディー構成パーツを同時一体塗装するものになる。

 ところで、金属材質主体の自動車のボディー側への下地塗装は、一般に、電着塗装によって行われることが多い。電着塗装とは、塗装対象物と塗料の双方に電荷をかけることで電気的に塗料を対象物に吸着させる方式のことで、この工程は対象物を塗料浴槽に沈めて行うことから、よく「ドブ漬け塗装」といわれる。

 今回新規開発された塗装技術は、このドブ漬け塗装の後の「仕上げ塗装」工程に対するものだ。

 これまでの仕上げ塗装では、金属材質主体のボディー側への塗装に用いる塗料と、樹脂材質主体のバンパーなどへの塗装に用いる塗料では特性の異なるものを用いており、焼き付け乾燥も、ボディー側は140度、バンパー類側は85度と、異なる温度で行っていた。こうした理由から、両者の塗装工程は分かれていたわけである。

 そこで、この工程を一体化すべく、日産は塗料メーカーとタッグを組み、85度で硬化する水系塗料を新規開発。これによって、バンパー類をボディーに仮組み付けさせた状態で一体塗装が可能になったわけである。この一体塗装工程の実現は世界初の試みだという。

 この一体塗装工程は、生産効率の向上のみならず、高精度な色合わせも実現することになり、結果的にボディーの見栄え品質の向上につながることになる。

photo 塗装前にボディーへバンパーやドアが仮組み付けされる
photo 新開発の低温効果水系塗料により、金属系、樹脂系、異なる材質のボディーパーツに対して同時一体塗装できるようになった

 ところで、この仕上げ塗装工程時には、車両自体は空っぽの“がらんどう”であり、後に控えるエンジンやら内装やら車輪やらを組み付ける工程があるため、せっかく塗装したドアやバンパー類はそうした工程では邪魔となるためいったんは外されることになる。しかし、この時に、車体とのペアになるIDが振られて管理されるため、全ての組み立て工程が終わり、再度、最終的なドアやバンパー組み付けの際には、この塗装工程で一体塗装した“そのもの”が再び組み付けられる。同じ色のボディーカラーのものが組み付けられるのではなく、一体塗装したときのペアで再び組み立てられるのだ。そう、ボティー関連のパーツ達は工場内で「出会いと別れ、そして感動の再会」を経験して組み上げられるわけである(笑)。

 なお、ボディー側の乾燥工程をセ氏140度から85度に下げられた恩恵は大きく、この工程の使用エネルギーは25%ほど削減できたとしている。

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