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» 2021年11月05日 08時00分 公開

匠の技をデジタルで再現する新しい「日本のものづくり」 日産の最新インテリジェント工場がすごいことになっていた(6/8 ページ)

[西川善司,ITmedia]

 乾燥工程においては、塗装対象車両にきめ細かく「ドライパウダー」を吹き付け、これに塗装ミスト(塗装カス)を吸着させて回収している。回収した塗装カスは、一定の大きさの塊となるまで積層させ、一定の大きさのブロックとなったタイミングで、リサイクル工程に送り、これを再び塗料として再利用する。そう、ごみが出にくい高効率な塗料リサイクルシステムを構築したわけだ。ちなみに、従来の塗装工程では、発生した余剰の塗装カスは廃棄していたので、今回の新システムは、地球環境保全への貢献はもちろん、塗装コスト削減にも貢献した一石二鳥の改善となっているわけである。

photo 乾燥工程
塗装工程の様子。後半は乾燥工程

 塗装品質検査に関しても、興味深い革新的な技術を導入している。

 従来、車体塗装面に対する色ムラ、ごみ付着の検出は、訓練された人間の工員の眼力によって行われていた。

 NIFの新システムでは、この工程にコンピュータビジョン技術を採用し、塗装品質の不備検出の精度を劇的に向上させたとしている。

 この工程では、ゼブラパターンをスクロール表示させた液晶ディスプレイを検査対象の車両のボディに映り込ませ、この鏡像をカメラで撮影。もし、そのボディーに色ムラやゴミの付着がなければ、均一で滑らかなゼブラパターンの鏡像がカメラ映像に撮影され続けるはず。しかし、撮影された鏡像に不連続な箇所があれば塗装面に何らかの問題があると判断できる。ゼブラパターンをスクロールさせるのは、そうした塗装面の問題検出精度を上げるためだ。

 われわれ人間も表面に傷があるかどうか見極めるときに、見る位置を変えたり、対象物を傾けたりして観察するが、あれと近いことを行うための検査システムというわけである。

photo 塗装外観自動検査にはコンピュータビジョン技術を導入

 現在、アリアに対しては、車体の562カ所に対し、11回の撮影検査を行っており、0.3mmサイズのゴミであれば検出率は100%を達成しているという。100%検出率のごみサイズで0.3mmという記録は業界最小だそうだ。

 なお、塗装のエラーを検出した場合は、その箇所の処置(再塗装や研磨の判断など)については人間が判断することになっている。担当者にこの塗装のエラーの修正について筆者が質問したところ「多くのケースでは磨き込みで対処可能」という回答だった。塗装工程ブースはクリーンルーム化されており、規模の大きい塗装エラーが出ることはほぼないようだ。

塗装面自動検査の様子。最後のシーンでタブレットを見ながら行っているのが「人間による診断」である。どこに塗装エラーがあるかは、このタブレット画面に表示される

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