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Google、ウクライナ支援で現地マップの交通情報非表示、YouTubeでの露メディアブロック、Gmailアカウント保護などを展開

» 2022年03月02日 07時19分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleは3月1日(現地時間)、ロシアに侵攻されたウクライナの人々を支援するための複数の取り組みを紹介した。

GoogleマップでのSOSアラートと現地ライブ情報の非表示

 ウクライナでの「Google検索」と「Googleマップ」での検索結果に、緊急時情報を表示すサービス「SOSアラート」を追加した。SOSアラートは、同社が2017年から提供している機能だ。近隣諸国の難民・移民センターに関する情報も追加した。

 また、「ライブ交通情報」を有効にしても交通情報は表示されないように、「交通状況」レイヤーは選択できないようにした。これは、地方自治体を含む複数の現地の複数の情報源との協議の結果、地域の安全を守るための措置だとしている。

 map Googleマップでウクライナの首都キエフを表示したところ。「ライブ交通情報」を有効にしても交通情報が反映されないし、「交通状況」は選択できない

YouTubeでのロシア国営メディア関連チャンネルのブロック(EU圏内で)

 傘下のYouTubeの欧州全土でのサービスで、RTやスプートニクなど、ロシア国営メディアのチャンネルをブロックした。これにより、チャンネルはコンテンツの収益化も、プロパガンダの配信もできなくなる。これはEUによるロシアメディアブロック方針を受けたものとみられる。

 また、グローバルでもロシア国営メディアの「おすすめ」を大幅に制限している。さらに、過去数日間で「協調的な欺瞞行為に従事する」数百のチャンネルと動画を削除した。米Meta(旧Facebook)は前日、架空のペルソナのネットワークが、InstagramやYouTubeなどのサービスを横断してウクライナの人々を標的にした不正な動作をしていたと発表した。

 信頼できない情報を表示されにくくすると同時に、信頼できる情報にアクセスしやすくするために、ウクライナ関連の検索結果には権威あるニュースソースからのコンテンツを目立つよう表示している。

セキュリティ保護の強化

 「ロシアが支援するサイバー攻撃はわれわれにとって目新しいものではない」が、特に警戒を強めている。その結果、アカウントを乗っ取って本人になりすまし、偽情報を拡散させる「GhostWriter」グループがウクライナ政府や軍関係者を標的にしているのを検知し、未然にブロックした。

 ウクライナの人々のGoogleアカウントのセキュリティ保護を自動的に強化した。具体的には、認証の強化などだ。また、現地の100以上のニュースメディアなどに対し、DDoS攻撃に対する保護サービス「Project Shield」を無償で提供している。

ロシアでのサービス提供は可能な限り続ける

 「Google Pay」はロシアの主要銀行のSWIFTからの排除などで利用できなくなる場合があるが、検索、マップ、YouTubeなど、ほとんどのサービスはロシアで持続している。これは、ロシア国民にグローバルな情報へのアクセスを提供し続けるためだ。

Google.orgからの1500万ドル寄付と現物支給

 Google.orgとGoogleの従業員が、ウクライナでの救援活動を支援するために1500万ドル(約17億円)の寄付と現物支給を行っている。

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