「粗いドット絵」「UDフォント」「パワポアイドル」──新年度だから教えたい、2022年に出てきた商用利用可なフリー素材

[松浦立樹，ITmedia]

　4月を迎え、2022年度がスタートした。新しい環境を迎えて、これまでとは違う製品を開発したり、毛色の異なる資料などを作ったりする人もいるかもしれない。そこで、フリー素材の活用を検討する人もいるだろう。

　フリー素材といえば「いらすとや」や「Adobe Stock」などのサービスが有名だが、それ以外にもユニークなサービスが2022年にも続々と立ち上がっている。この記事では、ITmedia NEWSで過去に記事として取り上げた、22年から始まったフリー素材サービスを5つ紹介する。

元任天堂のデザイナーが手掛けた粗いドット絵の素材集

　デザイン会社のNASU（大阪市浪速区）は、Webサイト「DOTOWN」（ドッタウン）で粗いドット絵の画像素材を提供している。食べ物や乗り物、人物、動物、建物、植物、季節イベント系などの粗いドットの画像約700点（2月1日時点）を無料でダウンロードできる。

画像素材例（DOTOWNから引用）

　このWebサイトは、元任天堂のデザイナーで、NASUの代表を務める前田高志さんのオンラインサロン「前田デザイン室」が作成したもの。画像は全てPNG形式で、再配布は禁止。素材は今後も追加する予定という。

（関連記事：まるでレトロゲーム　粗いドット絵画像の素材サイト、元任天堂のデザイナーが公開　無料で商用利用も可能）

パワポの図形だけで作ったアイドルグループ、サントリーからデビュー

　サントリー食品インターナショナルは、Microsoft PowerPointの図形データのみで作成したアイドルキャラクター「PowerPops」を公開している。「クラフトボス」シリーズを擬人化した5人分のキャラクターをデザインしており、特設サイトでダウンロードできる。

Microsoft PowerPointの図形データのみで作成したアイドルキャラクター「PowerPops」

　5人のキャラクターは計1万3095個のパワポのオブジェクトで作成。体と手が別グループになっている「チラ見ポーズ」などさまざまポーズがあり、キャラクターが図を持つような表現ができる。「資料作りなどのPC作業が大変と感じる人がいる現状を受けて開発した。仕事が楽しくなるような存在を目指したい」（サントリー食品インターナショナル）という。

素材利用例

（関連記事：パワポの図形1万3000個でできたアイドルグループ、フリー素材デビュー　サントリーが配布）

モリサワの「BIZ UDフォント」がGoogle Fontsで利用可能に

　モリサワはユニバーサルデザイン（UD）に配慮して開発した「BIZ UDフォント」を提供している。これまではモリサワが提供するフォント提供サービス「MORISAWA BIZ+」でしか使えなかったが、4月1日からはフォントサービスライブラリ「Google Fonts」でも提供。これにより、Chrome OSやGoogle Workspaceでも無料で利用できるようになった。

ユニバーサルデザインに配慮して開発した「BIZ UDフォント」

　利用できる書体は、「BIZ UDゴシック」と「BIZ UDPゴシック」「BIZ UD明朝」「BIZ UDP明朝」。フォントフォーマットは、TrueTypeとOpenTypeに対応。ライセンスは「SILオープンフォントライセンス」で、個人利用や商用利用の両方を認めている。

（関連記事：モリサワの「BIZ UDフォント」がGoogle Fontsで利用可能に、4月1日から）

タップやフリックなどのシステム操作音のフリー素材、電通が公開中

　電通はタップやフリック、文字入力などの操作を想定したオリジナルのシステム操作音「SND」をフリー素材として公開している。ソフトウェアのUX（ユーザーエクスペリエンス）開発者向けに開発したという。

「SND」のロゴ画像

　4日時点で、プログラムで生成した電子的なサウンドと、生楽器の音を収録したアコースティックなサウンドの2種類を公開中。それぞれ、Webやアプリの操作時や映像などと連動できる音声を、20個以上のWAV形式のデータで用意しており、併せてJavaScriptライブラリも公開している。

（関連記事：タップやフリックなどのシステム操作音のフリー素材、電通が公開　商用利用も可能）

2億画素級の高画質なチキンの画像が必要になったときに

　ファストフード店「KFC」を運営する米KFCコーポレーションは高画質なチキン画像のフリー素材サイト「chickenstock」を公開している。同社の商品画像約400種類を無料で提供。画像サイズは1万8898x1万630ピクセル（約2億88万画素）などで、中には5億画素を超える画像もある。

約2億88万画素の商品画像

　他社による商品画像の流用方法を問題視して公開したもので、画像の使用については「うちの画像が欲しい？　いいけど、行儀良くお願いしますね」としている。

　4日午後5時30分時点では、chickenstockはアクセス集中のためWebサイトは一時ダウン中。「まもなく借りれるようになる」と説明している。

（関連記事：KFCが2億画素級の高画質チキン画像を無料配布　「あげるけど、行儀よくお願いね」）