ではPCにEthernetが標準搭載になったのはどの時期か? というと、これは2000年にIntelが投入したICH2というサウスブリッジ(Intel用語ではICH)からである。もともとIntelは1999年にIntel 810というISAバスを廃したチップセットをリリースしている(これはPC97とかPC98といった仕様に絡んでくるのだが、この話は次回)。このIntel 810には標準ではEthernetが搭載されていなかった(写真1の左側)のだが、翌2000年にはPC133メモリをサポートする改良版のIntel 810Eを投入する(写真1の右側)。
このタイミングでサウスブリッジもICH2になったのだが、このICH2にEthernetコントローラ(正確に言えば10/100BASE-T対応のMAC層)が統合された。競合チップセットベンダーも当然これに追従、AMDも当然Athlon向けチップセットでEthernetを搭載してくるようになり、ここから急速に「PCにはEthernetが搭載されるのが標準」という土台が出来上がることになった。
この辺りが多様化を見せるのは、Wi-Fiの普及とスマートフォンの登場である。Wi-Fi、正確に言えばIEEE 802.11が最初に標準化されたのは1997年のこと。ついで1999年にはIEEE 802.11a/bが標準化され、このあたりから少しずつ利用が始まっていった。
1999年には相互運用性の担保のための認証を行うとともに、Wi-Fiの普及活動を行うWi-Fi Allianceも立ち上がるが、爆発的にこれが普及したのはIntelが2003年にBaniasベースのPentium Mプロセッサをベースとしたモバイル向けプラットフォームであるCentrinoに、Wi-Fiチップの搭載を義務付けたことが大きく関連している。
これは単にCentrinoベースのノートブックを増殖させたのみならず、競合メーカーもやはりWi-Fiを搭載して対抗することになった関係で、急速にWi-Fiの普及が進むことになった。その後でスマートフォンの到来である。2007年のiPhone発売と、これに続くスマートフォンの普及は、
という2つの大きなインパクトを与えることになった。
もはやインターネットにつながるのが当たり前になった昨今、EthernetもWi-Fiも搭載しないPCは、もはやPCとして不完全に近い扱いになっている(業務用などでそうした構成のPCがないわけではないのだが)。
ただ、PCにNetworkが標準で搭載されるようになったのは、ほんのここ20年の話でしかないのだ。
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