富士フイルムもとうとう最先端に追い付いた、といっていいと思う。5月末のオンラインイベント「X Summit OMIYA 2022」で発表された「X-H2S」のことだ。製品そのものの前にイベントのテーマだった「スピード&パワー」からチェックしていきたい。
デジタルカメラの技術にはトレンドというものがあり、新しい技術が搭載されるたびに性能が上がってきた。
例えばセンサーだ。かつては裏面照射型CMOセンサーであり、今のトレンドは積層型で裏面照射のCMOSセンサーとなっている。
ソニーがいち早く「α9」シリーズや「α1」に投入したこのセンサーは高速読み出しが可能なのでブラックアウトフリー連写やファインダー表示の高速化にも寄与し、AF速度を上げられ、高速なのでローリングシャッター歪みが抑えられるのが特徴。
ニコンは「Z 9」でそれを採用し、なんとメカシャッターを省いてしまった。
キヤノンは「EOS R3」で新開発の積層型&裏面照射型センサーを搭載した。
今年に入り、OMデジタルソリューションズが「OM-1」でとうとう積層型センサーを採用。OM-Dシリーズはちょっとセンサーのリプレースが遅れていた分、一気に2世代進化した感じで、AFも高感度時の画質もぐんと良くなった。
そして2022年6月、富士フイルムが積層型で裏面照射型の新しいセンサー「X-TRANS CMOS 5 HS」を採用したのである。
読み込み速度は4倍速くなり、高速連写が可能になり、AFも速くなったのだ。発表会では触れられなかった気がするが、電子シャッター時の歪みも改善されてると思う。
センサーに並んで重要なのが画像処理エンジン。最新のハイエンド機はどれも高速なセンサーに相応しいAIを使った超高速な画像処理エンジンを採用して性能を上げてきている。
富士フイルムは「X-Processor 5」という新しいエンジンを採用。
ディープラーニング技術に基づくAIプロセッシングを使い、高速である上に被写体認識に対応したのだ。
今までは人物だけだったが、動物、鳥、自動車や飛行機などの乗り物を認識してくれる。
発表会では、鳥や動物に対して、体全体、頭部、瞳と3つをしっかり捉えている様子が映し出されていた。
速さという点では、AF/AE追従で最高秒40コマの超高速連写を実現した。
Xシリーズもとうとうこの領域に来たか、ってのが一番の感想。
被写体認識やリアルタイムトラッキング、AF/AE追従の超高速連写は各社が性能を競っており、今まさに伸びているジャンルだ。
他社に比べてどのレベルに達しているのか、上回ってきたのか、実機が来たらチェックしてみたい。
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