この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「ワールドワイドのIaaSクラウド市場シェア、2021年は1位AWS、2位マイクロソフト、3位にはAlibaba、4位がGoogleとの調査結果。ガートナーが発表」(2022年6月10日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
調査会社の米Gartnerは、ワールドワイドにおける2021年のIaaSクラウドの市場シェアについて、調査結果を発表しました。
発表によると、トップは米AWSでシェア38.9%、2位は米Microsoftで21.1%、3位は中国Alibabaでシェア9.5%、4位に米Googleでシェア7.1%となっています。
ご存じのようにAlibabaは中国市場を中心に展開しているクラウドベンダーであり、中国市場ではシェアトップ、中国と日本を除いた東アジアではAWS、Microsoft、Googleに次いで4位のシェアを獲得しています。
下記は2022年3月に調査会社の米Synergy Research Groupが発表したアジア太平洋地域におけるIaaS+PaaS+ホステッドプライベートクラウドの市場シェアです。
参考:アジア太平洋地域における2021年第4四半期のクラウドインフラ市場、1位AWS、2位アリババ。日本は1位AWS、3位に富士通。Synergy Research Group
この中国市場での強さがAlibabaをワールドワイド市場でも3位に位置させたのだと思われます。
ただし成長率を見るとAlibabaは41.9%、Googleは63.7%となっているため、中期的にはGoogleが逆転する可能性が高いと言えそうです。
また、今回Gartnerが発表したのはIaaSクラウドの市場シェアです。他の調査会社であるSynergy Research Groupや米CanalysによるIaaS+PaaS+ホステッドプライベートクラウドにおけるワールドワイドのシェアでは、AlibabaはGoogleより下位に位置しています。
下記はSynergy Research Groupによる2022年第1四半期におけるワールドワイドのシェア。
参考:グローバルのクラウドインフラ市場はAWS、マイクロソフト、Googleの寡占が強まり6割超に。2022年第1四半期、Synergy GroupとCanalysの調査結果
この違いを素直に解釈するならば、AlibabaはIaaSクラウドには強くてもPaaSやホステッドプライベートクラウドには弱いと推定されます。
現状、世界各国は安全保障上の重要物資としてクラウドを位置づけ始めており、クラウド市場は国単位や似たような価値観を持った国家群単位でゆるやかにグループ化されていくようにも見えます。
そうした中でAlibabaのシェアがワールドワイドでどうなっていくのかは、注目すべき動向の1つではないでしょうか。
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