富士フイルムがXマウントのミラーレス一眼「X-Pro1」を発売して今年でちょうど10年。その記念モデルってわけじゃないだろうけど、10周年に相応しい前モデルから一世代飛躍した新型が出たのである。
それが「X-H2S」。「これぞAPS-Cサイズセンサーのフラッグシップ機」である、といって過言じゃないくらいの気持ちいい高性能なのである。
そもそも富士フイルムの主力カメラ「X-T」の上位モデルとしてX-H1が登場したのが2018年のこと。趣味性が高いX-Tシリーズに対し、深いグリップやサブディスプレイを持つX-H1は実用性重視のハイエンド機という印象だったが、後継機が(噂はあるものの)なかなか出ず、もしかして初代だけで終わるのか、というタイミングでの登場なのがまた渋い。
「実用性重視のハイエンド機」という方向性をさらに強化したAPS-Cサイズ界最強カメラとしての登場だ。
注目ポイントは3つ。
1つはリニューアルされた新型センサー。これによってスピードがぐんと上がった。
2つめはAF。富士フイルム初の「被写体検出AF」搭載だ。
3つめは操作系。X-T系やX-H1とはまったく異なる、でもカメラとして一般的な操作系にぐっと移行した。
その辺を中心に見ていこう。
とにもかくにもセンサーが新しい。昨今、各社のハイエンド機を中心に採用が進む最新の「積層型」センサーを搭載したのである。その名も「X-TRANS CMOS 5 HS」(長い!)。
これが従来のセンサーと違うのは「速さ」。センサーの信号読み出し速度ぐんとあがったのだ(従来比4倍だそうな)。
積層型になって読み出し速度が上がると何がいいのかというと、2つ。
1つは(画像処理エンジンの速さとかも必要だけど)連写速度を上げられる。電子シャッター時の最高速はなんと「秒40コマ」(メカシャッター時は秒15コマ)。ほんと、細かい一瞬を撮りたい人向けではあるが、この速度はすごい。不用意にこれで撮ると大変である。
もう1つは電子シャッターならではの高速な被写体を撮ったときの歪みがぐっと減ること。
試しに、天井でぐるぐる回ってるシーリングファンを電子シャッターで撮り比べてみた。X-T4はファンの形がちょっと歪んでるのに対し、X-H2Sはほとんど歪みがない。
電子シャッターを常用してもいいくらいだ。Xシリーズには、メカシャッター・電子先幕シャッター・電子シャッターを自動的に切り替えてくれるモードもあるのでより使いやすい。
メカシャッターでは最高で1/8000秒だが、電子シャッターを使うと1/32000秒まで上げられるのもメリットだ。
1つはAF速度を上げられること。ミラーレス一眼はセンサーからの信号を解析してフォーカシングを行うので、センサーからの信号読み出しが速ければAFも速くできるのだ。
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