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一眼レフの時代は終わったのか? 今になってミラーレス一眼に主力がシフトする理由荻窪圭のデジカメレビュープラス(2/5 ページ)

» 2022年08月21日 14時40分 公開
[荻窪圭ITmedia]

 大手カメラ量販店のサイトでコンパクトデジカメの現行モデルに何があるか調べるとより分かりやすい。販売終了モデルは記載されないからだ。

 IXYとか「Cyber-shot」とか「FinePix」の全盛期を知ってる身からすると寂しい限りで、かつてあった「finepix.com」というサイトもすでに無くなってる。

 スマートフォンが登場した当初は「画質はコンパクトデジカメの方が上」と言われたが、ハイエンド機を除くと画質はスマートフォンの方が上回りつつある。製品サイクルが早く、最新の技術がいち早く投入される市場規模を持っているジャンルは強いのだ。

 経済紙的には日本企業が世界を席巻していたのに、スマートフォンの時代になったらほとんどが海外ブランドになってしまった現状を話題にしたくなるのは分からないでもない。

 しかも撮った写真のブラウズ環境の中心がスマートフォンになった今、撮る・見る・見せるが1台で完結するスマートフォンに対して、撮ることに特化したカメラが勝負するのは困難だ。

 結局、コンパクトデジカメでかろうじて生き残っているジャンルは3つだけ。

 1つは1型以上のセンサーを搭載したハイエンドコンパクトだが、ソニーが「VLOGCAM」として生まれ変わらせた「ZV-1」以外はここ3年ほど新製品が出てない。

ソニーのVLOGCAM第一弾「ZV-1」。「Cyber-shot RX100」シリーズをベースにしたVLOG機だが、市場の人気はミラーレス一眼の「ZV-E10」にあるようだ

 APS-Cセンサーを積んだリコーの「GR III」は根強い人気だが、そういう固定ファンがしっかりついている機種以外は難しいだろう。

 2つめは超望遠のカメラ。具体的にはニコンの「COOLPIX P1000」と「P950」。現在、ニコンがラインアップする唯一のコンパクトデジカメだ。35mm判換算で3000mm相当(COOLPIX P1000の場合)という突き抜けすぎた唯一無二の性能を持つだけに、なんとか生き残ってほしいなとは思ってる。

2000mm相当まで撮れる比類無き超望遠のCOOLPIX P950。後継機は出てないが、他にはない特徴を持っているためラインアップに残っている

 3つめは防塵防滴防水耐寒耐衝撃のタフカメラ。OMDSの「TG-6」とリコーの「WGシリーズ」の2つが現役だ。これらには水中や過酷な環境での撮影という他ではまかなえないニーズがある。

 先日、わたしにコンパクトデジカメが欲しいと相談してきた人は、結局タフモデルの「TG-6」を選んだそうな。スマホとは違う性格の違う使い方ができるいい選択肢だったと思う。

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